自民・公明の激突「出来レース」説も囁かれる事情 早期解散絡む両党協議の裏に自民権力闘争の影

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同区は公選法違反罪で実刑判決を受けた河井克行元法相=自民離党=の地盤。これに着目した公明は2021年衆院選では地元出身で党幹事長を務めた斉藤鉄夫氏(現国土交通相)を同区の自公統一候補とするよう要求。その際、「認めなければ他選挙区での岸田派候補を応援しない」と恫喝したとされ、岸田首相も「今回の東京問題も同じ手法」と怒りを隠さないとされる。

こうした一連のいざこざは、「現在の自民執行部には公明党とのパイプがない」のが原因。これまで自民内実力者で公明との窓口となってきたのは菅、二階両氏だ。このため、「今回の騒ぎにも菅、二階氏の影がちらつく」(岸田派幹部)との見方も出る。菅、二階両氏にとって「岸田政権が追い込まれれば党内政局の主導権を握れるとの思惑があり、まさに自民内の権力闘争が絡んでいる」(自民長老)という読みからだ。

「会期末解散」なら岸田自公政権の“崩壊”も

その一方で、政治的に分析すれば、今回の自公対立は「双方が損するのは確実」(同)だ。「公明の強固な組織票と熱心な選挙活動は自民の最大の拠り所で、公明も今更、政権与党のうまみを失えば党が崩壊するのが実態」(同)だからだ。だからこそ、20年以上も連立政権が続いてきたわけで「もはや離婚できず、家庭内別居でも、最後は妥協しかない」(関係者)との見方にもつながる。

ただ、突然、岸田首相の“頭痛の種”と化した長男の「公邸忘年会」問題もあって、「岸田首相はすべてを払拭するため、会期末解散に打って出る」との見方も急浮上。その場合、自公対立のまま選挙に突入すれば、「岸田内閣と自公政権が同時崩壊しかねない危機」(閣僚経験者)ともなりかねない。

古来、「政界一寸先は闇」といわれる。まさに6月21日の国会当初会期末までの残る半月間は「何が起こってもおかしくない状況」(同)だけに、全ての国会議員や次期衆院選候補者が、その成り行きを固唾をのんで見守る状況が続くことになりそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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