債務上限問題決着後、米国株は下落の懸念がある FRBの「金融引き締め」は今後もまだまだ続く

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もしシリコンバレーバンクなど一連の地銀の破綻をもたらした利上げがついに見送りとなれば、市場にとってはよい知らせであることは間違いなさそうだ。しかしながら、実際に利上げの打ち止めを受けて単純に株式市場が上昇基調を完全に取り戻すかどうかは、なお定かではない。

今後のアメリカ景気は一段と減速、悪化へ

すでにFOMCで10会合連続の利上げが打ち出されたことにより、現在、政策金利であるFF金利の誘導目標は5.00~5.25%となっている。これは景気抑制的な水準であり、この水準が維持されている間は、アメリカの景気は放っておいても自然に減速、悪化していくことになりそうだ。

だが、一時は「FRBが早期に利下げに転じる」という観測があったが、現在はパウエル議長をはじめFRBの高官は、誰ひとりとして年内の利下げ転換を予想していない。もし年末まで半年以上、今の高金利が続くことになれば、景気や雇用が一段と悪化するのは避けられない。

深刻なリセッション(景気後退)に陥るのかどうかについては、アナリストの間でも意見が分かれるところだ。だが、早ければ4~6月期中に経済成長がマイナスに転じる可能性は高いと考える。現在は、半導体など一部の企業業績をハヤしているが、消費財関連の企業業績などは今後一段と悪化する可能性が高く、市場もそれを結局織り込みにかからざるをえないのではないか。

では、FRBが早期に利下げに転じる可能性はまったくないのだろうか。そのカギは、やはり今後のインフレ動向が握る。

前出の4月のCPIにしても依然として高い水準にあり、サービスや住居費はこれらを上回る強い伸びを維持している。6月のFOMCでは再度利上げの可能性も残っている今、FRBが利下げを検討できるような水準までインフレ圧力が低下するには、かなりの時間を要する可能性が高い。

しかも、以前からも指摘しているように、夏にかけて商品市場があらためて騰勢を強めるリスクも消えていない。やはり、今後はインフレが思った以上に長期間、高止まりを続けるシナリオに対する警戒感を、強めておいたほうがよい。

具体的に言えば、少なくともCPIが前年同月比で3%台にまで下がってこなければ、利下げ転換が現実のものとなることはなさそうだ。今のところ、何か大きな変化でもない限り、「年内のCPI3%台」はほぼ不可能だ。

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