では、オーケーの銀座出店の狙いは何なのか。ずばり、「広報効果を活かし、他地域の出店を加速したい」というものだろう。その想いは、何気ない会社説明の項目にあらわれている。
経営方針に『高品質・Everyday Low Price』を掲げるディスカウント・スーパーマーケットです。2023年5月現在、1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に143店舗を展開しています。2024年には関西への出店も計画しております。
今回の銀座出店とは関係のない、2024年の関西進出の計画が書かれているのだ。なお、これ以前のプレスリリースには「関西への出店も計画」の文字はみられず、今回意図して盛り込んだことがうかがえる。
関西の有力スーパー・関西スーパーマーケットを巡って、阪急阪神百貨店を擁するエイチ・ツー・オー リテイリングと激しい争奪戦を繰り広げたことは記憶に新しい。戦いは最高裁の判断を仰ぐまでもつれたが、オーケーは敗れ去った。「日経ビジネス」の取材に対し、オーケーの二宮涼太郎社長はこの「仁義なき争奪戦」をこのように振り返っている。
オーケーは来年、東大阪市に大規模店をオープンすることを既に公表している。首都圏以外での知名度と信用度を高め、関西エリアへの「再挑戦」を成功させるためにも、「オーケー銀座店」は欠かせないパーツだったのだろう。
広報上手とは言えないオーケー
しかし、今回のリリースを見る限りは、オーケーはとてもではないが広報上手とは言えない。
まず、この銀座出店のプレスリリースで「風変わり」な点のひとつが、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングに関する記述が妙に目立つことだ。プレスリリースの中段には、以下の記載がある。
「ファーストリテイリングとのご縁」で出店することは、当事者以外にはまさに「どうでもいいこと」。こうした対外的に意味のないことは通常、プレスリリースには記さないものだ。ファーストリテイリングにかなり配慮していることに加え、広報に不慣れなことがうかがえる。
加えて、プレスリリースの問い合わせ先として記載されている部署名の「販促広報室」だ。「広報」の前に「販促」が付く部署名を、私は初めてみた。オーケーにおいて、広報は純粋に「販促のため」と位置付けられているのだろう。
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