「内部通報が多い企業ランキング」TOP100社 通報しやすいオープンな会社1位は日産自動車

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5位は日立製作所の1023件。案件ごとに通報内容の確認を行い、不正が確認された場合は、対象者への指導や懲戒対応など適切な是正措置を実施する。

以下、6位パナソニック ホールディングス638件、7位ヤマトホールディングス634件、8位イオン632件、9位ファーストリテイリング610件、10位AGC560件と続く。

窓口は社外で一括窓口としている37位IHI(263件)と海外のみ設置の80位パーソルホールディングス(126件)以外はすべて社内に設置。さらに多くが社外にも設置している。

適切な内部通報件数はどのくらいか?

ところで、この件数はどのくらいあれば適切なのだろうか。残念ながら一般に使われている基準はない。ただ、2011年度からこのデータを集めてきた経験から、通報できる人数が100人いれば年間1件くらいあることを1つの目安と考えている。

たとえば、1位の日産自動車はグローバルベースの通報件数(1764件)で、連結従業員数13万4111人で考えると、1件当たり76.0人となる。「100人に1件」を上回る水準で通報数は一定レベル以上とみられる。

2位スギホールディングスは連結従業員数に臨時雇用者数を加えると4万5935人。これを通報件数1254件で割ると同36.6人となり高レベルの通報が集まっていると判断できる。

一方で昨年、トラックなどに使うエンジンの排出ガス性能や燃費試験データでの不正が発覚した53位日野自動車。件数は189件(連結ベース)と上位だが、連結従業員数3万4405人で計算すると同182.0件となり、少し劣っているようだ。ただ、5年前の2016年度はわずか通報20件と件数は着実に増えていた。通報しやすい環境にもなりつつあり、問題が表に出やすくなっている。今回が最後のウミ出しとなることを期待したい。

さて、通報件数に対比させる人数選びは実は難しい。件数が単独ベースであれば、従業員も単独にしたほうがいい。また、業種によって臨時従業員数を加えたほうが望ましいケースもある。さらに顧客や取引先などの通報が可能な場合は想定人数を加えるといった調整も必要になるだろう。一律の計算はなかなか難しいが、少なくとも単独従業員数、連結従業員数で計算しておけば、企業のガバナンスを見る際の1つの判断基準にはなりそうだ。

実際の内部通報では「一部の社員が通報とは関係ない不満等をぶちまけるケースも多い」という。社内担当者の負担は非常に大きいようだ。しかし、少しでも気になる点を自由に発言できる環境であれば、早めに問題点が浮かび上がってくる可能性は高くなる。ぜひ通報しやすい環境になるよう各社の積極的な取り組みに期待したい。

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