【産業天気図・化学】主力プラントが被災、企業・家計の心理悪化も響き軟調な展開へ

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 半導体の基板材料となるシリコンウエハで世界大手の信越化学も、福島県西郷村でシリコンウエハを生産する信越半導体白河工場が被災した。4月8日時点で復旧に至っていない。白河工場は月産100万~110万枚(直径300ミリメートル)とされる信越化学グループ全体の生産能力のうち、半分以上を占めているとみられる。米国のシリコンウエハメーカーで宇都宮市に工場を持つ米MEMCも震災直後から操業停止が続き、同日時点で生産再開できていない。推計で世界の2割前後に上る供給能力が遮断されている。

これらの要因によって三菱化学や信越化学などは生産縮小による業績の悪化が避けられない。その他の化学企業も11年度前半は苦戦を強いられる可能性がありそうだ。化学業界だけでも、自動車や電機などの最終製品の重要な部品供給網(サプライ・チェーン)が寸断されているのは明白。その他業界も、重要部品の供給が厳しくなっており、最終製品の生産は断続的に停滞するだろう。つられて震災の直接被害を受けていない企業の生産活動も停滞する可能性がある。電力不足や企業や家計の心理面悪化も影響して、主要企業の業績が拡大基調を続けるのは難しい環境になるだろう。

11年度後半になれば、サプライ・チェーンの回復や家計や企業の心理改善が進むことが予想される。世界景気の拡大が続く中で前半に比べれば緩やかながらも化学大手の業績は、回復基調に転じていくだろう。しかしながら、震災の後遺症が続く中では業績の水準は十分に戻らないことも予想される。
(武政 秀明=東洋経済オンライン)

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