2023年の日経平均株価の高値は「今」かもしれない 「3万円」を達成した後の下落に注意が必要だ

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3つ目はいよいよ19~21日に広島で開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)だ。今回のサミットの最大の焦点は、西側の主要7カ国が「対ロシア」「対中国」で結束できるかどうかだろう。

インドやインドネシアなどの「グローバルサウス」の国々、韓国、ウクライナ(オンライン参加)なども招待されている。ホスト役の日本の岸田文雄首相がどのようなメッセージを国際社会にまとめて発信できるか注目されている。実際には「無難なメッセージ」が出されそうだが、サミットが終われば日本への注目度もいったんおちつき、日経平均もピークとなりやすい。

6月中旬が今年の高値になる可能性も残っている

ただし、もし今週が日経平均の当面の高値になったとしても、年間の高値になるかどうかはまだわからない。後ずれする可能性も残っている。

具体的に言えば、今年の高値の時期は、①今週がピークになる可能性が40~50%(詳細は前述)、②6月中旬(6月9~19日頃)が同30~40%、③それ以外(年後半など)が10~30%のイメージだ。

②の「6月中旬の高値」が実現するには、アメリカの株式(とくにNASDAQ総合指数)が年初来高値を取り続けていることに加え、FRB(連邦準備制度理事会)の6月利上げ観測再浮上による、円安ドル高(1ドル=140円程度)などが必要となろう。

6月13~14日のFOMCでFRBは政策金利据え置きの決定をする可能性が高い。アメリカの市場はそれを織りこむ形で上昇、日経平均もつれて上昇する可能性が残っている。

ちなみに、FRBは前出の5月のFOMCで今後の利上げ停止の可能性を示唆するいっぽう、インフレについての懸念は維持し、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の引き上げ幅を0.25%とした。将来の利上げ幅を決定するうえで考慮する要因についての表現を残すことで、今後のデータ次第で追加利上げを排除しない姿勢を示している。

加えて、年の後半は米欧の銀行貸し出し抑制などによる景気後退や企業業績の悪化リスクも高まると見られる。今後の株価がどうなるのか、見極めるタイミングが訪れていると言えそうだ。

(本記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

糸島 孝俊 株式ストラテジスト

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いとしま たかとし / Takatoshi Itoshima

ピクテ・ジャパン株式会社投資戦略部ストラテジスト。シンクタンクのアナリストを経て、日系大手運用会社やヘッジファンドなどのファンドマネジャーに従事。運用経験通算21年。最優秀ファンド賞3回・優秀ファンド賞2回の受賞歴を誇る日本株ファンドの運用経験を持つ。ピクテではストラテジストとして国内中心に主要国株式までカバー。日経CNBC「昼エクスプレス」は隔週月曜日、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、BSテレビ東京「NIKKEI NEWS NEXT」、ストックボイス、ラジオNIKKEIなどにも出演中。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

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