「自分の居場所がない」から抜け出す魔法の言葉 人間関係の悩みの9割は「ほっときゃいいよ」

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がんを治療しながら働く人の職場での悩みとは?(写真:mits/PIXTA)
がん研究が急速に進み、がんは治る病気になりつつあるため、がん治療を受けながら働くという人も増えています。とはいえ、以前と同じようにはいかない面もあり、職場での人間関係に悩む人も増えています。病理医として2000人を超える患者のがんを見てきた経験を生かし、「がん哲学外来」を無償で開いて、がんにまつわる人生哲学について、5000人以上の患者やその家族と対話を続けてきた樋野興夫医師が、がんの治療をきっかけにして起こりやすい職場での人間関係の問題を、うまく切り抜けるためのヒントを紹介します。

職場の悩みは「ほっときゃいい」

現在、がん研究は急速に進んでいて、がんという病気のメカニズムがかなり解明され、新しい治療法がどんどん登場しています。以前とは違って、がんは治る病気になりつつありますから、がん治療を受けながら働くという人も増えています。

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ただ、働けるとはいえ、入院が必要だったり通院に時間を取られたりといった事情もありますから、まったく以前と同じようにはいかない面もあります。そのため、一定期間、休職にしてもらったり、定期的に半休をもらったりといった会社の配慮を要するわけですが、これをきっかけにして職場との関係が変わりやすくなるんです。

例えば、がん治療中の人が、「会社が冷たくなった」「上司や同僚がよそよそしい」などと職場での居心地が悪くなったと思い、

「どうしたらいいでしょうか?」

と、私に尋ねてくることがあります。

そんなときはよく、こう答えるんです。

「それは、ほっときゃいいよ」

なぜなら、ほとんどの場合、とくに何もしなくても、問題は勝手に消えるからです。

がんになった人自身が初めての経験で戸惑っているのと同様に、職場の上司や同僚にとっても職場にがん治療中の人がいるのは、慣れない経験のはずです。それで、どう接していいかわからなくて、やはり、戸惑っているんですよ。

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