リニアどうなる?JR東海と静岡市が「トップ交代」 元副知事の新市長「川勝知事の懐刀」敵か味方か

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難波氏は市長選への出馬に際し、リニアを推進する自民党などの推薦を受けている。また、「リニア事業は沿線自治体のほとんどが賛成し、すでに事業が行われている段階」として、「個人としてリニア事業についてどのような価値判断をもっていたとしても、行政判断としてはリニア事業の推進に協力すべきである」という公約を掲げていた。

ここまで読むと、まさにリニアを推進させようという意欲がうかがえるが、それに続く記述は、「環境影響の回避・低減等については首長は重い責任がある」。

現在、国の有識者会議で協議されている南アルプスの生態系への影響に関しては、難波氏は議論を尽くすことを求めている。理念にこだわるか、それとも落とし所があるとするのか。この公約から難波氏の意図は読みにくい。実際、難波氏をよく知るリニア賛成派の関係者は、「難波さんはしたたか。どんな行動をするか予想がつかない」と今後について慎重な姿勢を取る。

リニア問題を左右する「難波氏の真意」

丹羽社長が川勝知事を訪ねた12日、知事室と副知事室がある階のエレベーターホールには大勢の報道陣が丹羽社長の到着を待ち構えていた。午前10時55分、丹羽社長がエレベーターから降りて知事室に姿を消した。

その数分後、多くの報道陣が残る中、廊下の陰から難波氏が突然姿を見せた。事前にそんな話は聞かされていなかった。唖然とする報道陣を一瞥すると、難波氏はそそくさと副知事室に入っていった。副知事への表敬訪問なのだろうか。でも、この時刻、この場所に多くの報道陣が待機していることを難波氏が知らないはずはない。なぜこのタイミングで姿を見せたのだろうか。その場に居合わせた県の担当者たちも「難波さんが来るって知ってた?」「知らなかった」と寝耳に水の様子だったが、その後で「難波さんはこういうところがあるから」というある担当者のつぶやきが聞こえた。

“こういうところ”が何をさすかはわからないが、身近にいた人でさえ難波氏の考えは読めないようだ。4月13日に行われた市長就任会見では、最近、県と歩調が乱れ始めた大井川利水関係協議会に「静岡市も流域であり、加わらない選択肢はない」と発言して流域の各首長と連携を深めたい考えを示し、流域の各首長が当惑するという局面があった。難波氏の真意はどこにあるのか。その出方次第でリニアの今後は大きく変わるといえる。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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