リニアどうなる?JR東海と静岡市が「トップ交代」 元副知事の新市長「川勝知事の懐刀」敵か味方か

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JR東海 丹羽社長 合同インタビュー
報道各社の合同インタビューに答えるJR東海の丹羽俊介社長(撮影:梅谷秀司)

JR東海の経営体制が4月1日付で変わった。社長を務めていた金子慎氏が会長になり、新たな社長に丹羽俊介氏が就いた。

金子氏といえば、2020年6月26日に静岡県庁を訪問し、川勝平太知事と面談した姿が記憶に残る。JR東海は品川と名古屋を結ぶリニア中央新幹線の建設を進めているが、南アルプスのトンネル工事で発生する湧水が大井川の水量や南アルプスの環境に影響を与えかねないとして、川勝知事は工事の着工を認めない。金子氏は川勝知事に「2027年開業に間に合わせるため、6月中にヤード整備などの準備工事だけでも着手したい」と訴えたが、川勝知事は拒否。結果として、JR東海が目指していた2027年中のリニア開業は事実上不可能となった。

リニア戦略「変わることはない」

新たにJR東海の経営の舵取りを担う丹羽社長はリニア戦略をどう考えているのか。4月6日に行われた報道各社の合同インタビューでは、まさにその点に質問が集中した。

社長交代で静岡県との関係が変化するかについて問われた丹羽社長は「社長が変わったから(関係が)変わるということはない」と答えた。開業時期についても「2027年の開業は難しい。静岡工区のトンネル工事に着手できるメドが立っていないため、新たな開業時期を示すことはできない」という従来の説明を繰り返した。任期中に開業のメドをつけたいかという質問に対しては「全力で取り組む」という回答にとどまった。

大井川の水量を維持する方策として、工事の一定期間中、東京電力田代ダムの取水を抑制し工事に伴う県外流出分と同量を大井川に還元するという案がある。JR東海は東京電力と協議を始めたいと考えており、「社長が変わってもこの方針に変わりない」としている。丹羽社長は社長就任前に総合企画本部長を務めており会社の経営戦略を構築する立場だった。その意味でも丹羽氏がこれまでの経営戦略を継承するのは当然ともいえる。

川勝知事に会う予定があるかと問われると、「沿線の各知事にご挨拶にうかがいたい」としたうえで、「静岡県知事にもご挨拶したい。日程について調整している」と答えた。

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