「リニアいつ開業?」駅設置に沸いた飯田市の誤算 企業の誘致ままならず、住居移転にも遅れが
長野市、松本市、上田市、佐久市に次ぐ長野県第5の都市である飯田市と東京との間は直線距離にしておよそ170km。これは東京と長野市の直線距離とほぼ同じである。
しかし、東京―長野間は北陸新幹線で1時間半で結ばれているのに対して、東京―飯田間は豊橋経由で東海道新幹線とJR飯田線の特急「伊那路」を乗り継いで4時間強かかる。特急は1日2往復しかないので、東京との行き来は鉄道よりも高速バスが便利だ。とはいえ、高速バスは本数こそ多いものの、所要時間は鉄道同様4時間強かかる。
東京との行き来だけではない。直線距離で約100kmの飯田―名古屋間も高速バスで約2時間かかる。しかも、飯田市と県庁所在地の長野市を結ぶ高速バスの所要時間も約3時間かかる。人口9.7万人の都市であるにもかかわらず交通アクセスが容易でないことを理由に、飯田を“陸の孤島”と揶揄する声もある。
品川―飯田間が46分に
そんな飯田にリニア中央新幹線がやってくる。長野県内におけるリニアのルートは当初3案あった。南アルプスを迂回する木曽谷ルート、諏訪・伊那谷ルートと南アルプスを貫通し東京と品川をほぼ直線で結ぶ南アルプスルートの3案である。県は当初、諏訪・伊那谷ルートを推していたが、建設コストの安さや所要時間が短いことなどを理由に南アルプスルートが採択された。1県に1駅ずつ設置されるリニアの駅は飯田市内に設置されることが決まった。
リニアは品川―名古屋間を最速40分程度で結ぶ。各駅停車タイプのリニアでも品川―飯田間は約46分、飯田―名古屋間は約24分で結ぶことが見込まれている。飯田と東京や名古屋との所要時間が一気に短縮される。観光目的やビジネス目的による交流人口の増加だけでなく、自然に囲まれた飯田市への人口流入、産業立地の増加などが期待される。リニアを通じて中部国際空港や羽田空港へのアクセス時間も短縮されるため、海外との往来も活発になると市は期待する。
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