増える「似たような」観光列車、差別化への挑戦 鉄道会社があの手この手で新機軸を打ち出す

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2022年9月23日に運転を開始したJR九州の最新観光列車「ふたつ星4047」(写真:恵 知仁)

「観光列車」は、日本の鉄道において近年、発展してきたものの1つだろう。

非日常性の高い内外装を備える、車内で沿線の味覚を味わえる、停車駅などで沿線の人々からおもてなしを受けられるなど、その列車へ乗ること自体が旅の目的になるよう、造られた列車だ。

北海道から四国、九州まで、JRでも第三セクター鉄道でも大手私鉄でも中小私鉄でも、多くの鉄道会社が観光列車を運行する時代になった。

ただ逆にいえば、各社趣向を凝らしているとはいえ、似たようなデザイン、似たような楽しみ方の列車がそれだけ増えた、という面もある。観光列車は成熟してきたが、その分、どうしてもマンネリ化してきた、と思う人もいるかもしれない。

しかし2022年は、観光列車は進化し続けていることを感じた年でもあった。

キーワードは、「能動的な旅の体験」だ。

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自分から手を動かしていく観光列車

2022年9月23日の西九州新幹線開業と同時に運行を開始した、JR九州の観光列車「ふたつ星4047」。その車内では、沿線(長崎県波佐見町周辺)の特産品である波佐見焼(陶磁器)へ、絵付けの体験ができる(有料)。

2号車ラウンジ車両のテーブル、座席に、波佐見焼の白い皿と、イラストが描かれた転写シール、ハサミなどの必要な道具を用意。転写シールのイラストは、「ふたつ星4047」をはじめとするJR九州の列車や、沿線へゆかりのある内容になっており、観光列車のなかで、その旅の思い出を形に残すことが可能だ。

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また、同じくJR九州の観光列車「36ぷらす3」は、2022年10月3日から博多―佐世保間を結ぶ新コースの運行を開始。そこでは「西九州のやきもの文化」に着目し、陶片を使ったオリジナルコースターづくりを体験できる(有料)。

観光列車に乗って、その非日常性や沿線の味覚、おもてなしを楽しむだけではなく、自分の手と頭を使い、旅の思い出を車内で作っていく。

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