増える「似たような」観光列車、差別化への挑戦 鉄道会社があの手この手で新機軸を打ち出す
そうした「能動的な旅の体験」を観光列車で行える例が増えている。JR九州でいえば「36ぷらす3」での「梅酒づくり」、「SL人吉」での「きじ馬絵付け体験」などだ。そしてそれがいま、観光列車の新たな楽しみ方、観光列車の新たな魅力になりつつある。
観光列車を運行するにあたって、JR九州では「鉄道を通して地域の魅力をお客さまに伝えること」を目的に、車内イベントや車内デザインを検討。そこで「お客さまが地域の特色を身近に感じ、知ってもらうことができる取り組み」として、こうした車内体験イベントを開催しているそうだ。
また、「旅の思い出」を残すことができ、帰宅後に旅の余韻を楽しめるのも、その良さのひとつと考えているという。
なぜ列車の3分の1もが共用スペースになるのか?
こうした車内での体験イベントは、観光列車の定番的な魅力である「おもてなし」を、いっそう深めるものでもある。
「おもてなし」は、ひとつの「コミュニケーション」だ。車内で体験イベントを行うことによって、乗客と、イベントを実施する客室乗務員とのコミュニケーションが増える。観光列車の旅が、より印象深いものになっていく。
JR九州の観光列車「36ぷらす3」は6両編成のうち1両が、「ふたつ星4047」は3両編成のうち1両が、そうした体験イベントなどを開催する共用スペース車両だ。単純に座席数が多ければいいとは思わないが、それでも列車の3分の1が共用スペースの「ふたつ星4047」は、なかなか思い切りのよい車両の使い方だと思う(やや特殊な観光列車ながら、2両編成のうち1両が共有スペースのプレイルームになったJR東日本「POKÉMON with YOU トレイン」もあるが)。
こうした共用スペース車両を連結する狙いは何か。JR九州によると、イベントの実施はもちろん、そこで乗客にゆっくりと豊かな時間を過ごしてもらうことにより、客室乗務員との接点を増やす目的もあるそうだ。
JR九州では今後、ほかの観光列車でも体験イベントの導入を検討していきたいと考えているとのこと。車内での「能動的な旅の体験」も今後、観光列車での定番的な魅力になっていくかもしれない。
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