破綻のユニゾ、旧経営陣に迫る「責任追及」の足音 EBOの手続きを調査、損害賠償請求にも発展か

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チトセア投資の返済能力に対しては、債権者からも疑義が持たれていた。ユニゾHDの社債権者である香港ファンドのアジア・リサーチ&キャピタル・マネジメント(ARCM)は2021年2月、ユニゾHDに対して質問状を送付。文書の中では、「(チトセア投資への貸し付けが)ユニゾの債権者に対する支払い能力を損なうものであったのではないか」と指摘していた。

対するユニゾHDは、ユニゾHDが不動産売却やホテル運営で上がった収益を配当金としてチトセア投資に支払い、チトセア投資はそれを原資に借入金をユニゾHDに返済することは可能だとしてきた。

倒産後の債権者集会で代理人弁護士は「チトセア投資の保有資産はほぼユニゾHDの株式のみで、貸付金はほぼ回収の見込みがない」としている。ARCMの懸念が的中した形だ。

反故にされた合意

チトセア投資への貸付金をめぐっては、別の火種もくすぶっている。EBOに先だってユニゾHDが結んだ債権者保護に関する「合意」が、反故にされたという事実だ。

2020年2月、ユニゾHDはチトセア投資との間で合意書を結んだ。ユニゾHDからチトセア投資に対して資金の移動を行う場合、借入金や社債に対して「担保差入れその他の方法により債権保全を図るか、又は、期限前弁済を行うことに合意する」という内容だ。チトセア投資への貸し付けによってユニゾの財務が悪化し、既存債務の返済に支障をきたせば、合意に反する。

合意書違反についても、すでに債権者から指摘が挙がっている。

2021年2月、ユニゾHDに対して一通の内容証明郵便が送付された。送り主は香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメント。保有するユニゾHDの社債について、期限前償還を求める内容だ。いわく、ユニゾHDがチトセア投資に貸し付けを行ったことで、「期限前弁済を行うことに合意する」という前述の合意書の内容が成就。社債権者は期限前償還を求めることができるという主張だ。

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