カワサキ「新型エリミネーター」400ccで復活の訳 アメリカンバイク・ブームを作った名車が蘇る

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この点について、前出のカワサキ担当者は、「あえて他社モデルと競合させるのではなく、普通二輪免許で乗ることができる最大排気量とすることで、街中から高速道路まで、より余裕のある走りを望むユーザーをターゲットにした」という。確かに、レブル250が搭載する249cc・水冷単気筒エンジンは、最高出力26ps/9500rpm、最大トルク2.2kgf・m/6500rpm。出力でいえば、400ccエンジンを搭載するエリミネーターのほうが高い。

もちろん、車検があるという面では、レブル250より維持費はかかる。だが、それでも、同じく前述のとおり、早期の発売を開始したほどの反響ぶり。しかも、販売を担当するカワサキモータースジャパンの公式ホームページによれば、「お客様からのご要望が入荷予定台数を大きく上まわる」ことが見込まれることで、「カワサキ正規取扱店への納品が追いつかない」ことが予想されているという。つまり、生産が間に合わないほどの受注数を受けているということだ。

復活した名車、販売も好調

新型エリミネーターのイメージカット
新型エリミネーターのイメージカット(写真:カワサキモータースジャパン)

そう考えると、販売がスタートした現段階においては、カワサキの狙いは的中したといえる。あとは、今後、どれほど販売台数を伸ばせるか。近年の4輪車と同じく、2輪車でも納期遅れは長い目で見ると販売面でマイナスになりがちだ。4輪車の場合は、納車まで長い期間がかかってしまうと、キャンセルや別の車種に変えることも起こりやすい。だが、2輪車、とくにこうしたモデルは、より趣味性が強いし、普段使いというよりも、休日のレジャー向けに乗るユーザーも多い。本当に欲しければ、待ってくれるユーザーも一定数いるだろう。また、バックオーダーを抱えていることが話題となり、さらに人気が上がることも考えられる。そのあたりは、今後の動向をみるしかないのだが。

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ともあれ、レブル250など同ジャンルの人気モデルとはあえて一線を画し、独自の方法論で新規ユーザーを狙ったカワサキの戦略車が新型エリミネーターだ。果たして、このモデルが、かつての先代モデルのように、2輪車市場で大きな存在感を確立し、新たな伝説を作っていけるのかが興味深い。

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平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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