アルトターボRSがワークスを名乗らぬ理由 スズキの軽スポーツ、乗って分かった実像
スズキ「アルト」といえばダイハツ工業「ミラ」と並び、日本の軽乗用車市場の基礎をつくり、支えてきたハッチバックタイプのモデルだ。今でこそ「ワゴンR」(スズキ)や「ムーヴ」(ダイハツ)、「N-BOX」(ホンダ)などの背高(ハイト)ワゴンタイプに主役の座を奪われたものの、1979年の初代から数えて8代目となる新型アルトが2014年末に登場するなど人気は根強く、DNAは脈々と受け継がれている。
そんなアルトにはかつて「ワークス」という名称の仕様(グレード)があった。通称「アルトワークス」。ターボエンジンを積んだスポーツタイプだ。青春時代をクルマと過ごしたような30代後半~50代ぐらいの男性には、特に強烈な印象を与えたモデルでもある。
初登場は1987年。2代目アルト(1984~1988年)の一仕様として追加設定された。当時は600キログラム前後の軽く小さな車体に、最高出力64馬力(PS)という軽自動車としては、かなりハイパワーなエンジンを搭載。取り回しの良さも加えた軽快な運動性能が武器で、シチュエーションによってはパワーの大きい普通車、場合によってスポーツカーすら追い回すこともあった。
「64馬力自主規制」の源流とも
アルトワークスの登場で軽自動車の性能競争はピークへ。上限が排気量660ccの軽自動車エンジンの最高出力が、最大64馬力に自主規制された源流にあるともいわれている。アルトワークスは3代目(1988~1994年)、4代目(1994~1998年)、5代目(1998~2004年)のアルトにそれぞれ設定。ただ、軽自動車にも燃費や排ガスなどの環境性能が重視されるようになったのに加え、ハイパワーモデルでもハイトワゴン系のニーズが高まり、アルトワークスは5代目アルトの一部改良(マイナーチェンジ)の2000年にひっそりと姿を消していた。
そんなアルトワークスを彷彿とさせるモデルが、姿を現した。スズキが8代目アルトに追加設定して3月中旬に発売した「アルトターボRS」だ。
8代目アルトをベースに最高出力64馬力、最大トルク10.0キログラム・mの3気筒ターボエンジンを搭載。足回りやブレーキを強化したほか、専用の内外装などを採用した。前輪駆動(FF)、4輪駆動(4WD)の2タイプがあり、車両本体価格は129万3840~140万5080円だ。
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