「IT大国」台湾の電気バスはどれほど進んでいるか 「自国開発・海外生産」で世界販売拡大目指す
EVバスでは世界的に中国メーカー製の車両が多く導入されている。台湾も中国メーカーのEVバスを国内で架装する方式で導入していたこともあるが、充電に長時間を要することやバッテリーサイクルの悪さから、近年はBYD製の車両が200両ほど投入されているに留まる。また、2022年に改正されたEVバス導入のガイドラインでは、中国産材料の使用制限がより厳格化されたことで窮地に追い込まれている。
では、中国製と台湾製ではどこが違うのだろうか。同クラスの車両でスペックを比較すると、日本でも運行されているBYD製の長さ12m級のバス「K9」のバッテリー容量は324khwで航続距離は250km。一方、成運汽車が今回発表した長距離用バスのベースとなった12m級の都市型路線バス車両はバッテリー容量109kwh、航続距離80kmで、一見すると劣っている。
高度な充電管理で稼働率をアップ
そこでカギを握るのが高速充電技術だ。「K9」がフル充電に約6時間かかるところ、成運のバスは15分以内に20~80%まで高速充電できるといい、運用効率の向上とともに夜間の長時間充電が不要となることで保守の観点でもメリットがあるという。このような「継ぎ足し充電」の仕組みで走るタイプの車両はフル充電1回の航続距離が30~40km程度に留まるケースが多い中、成運が今回発表したモデルの航続距離はその倍に達する。折り返し時やサービスエリアでの休憩時などに高速充電することで車両の稼働率を上げ、都市間バスでの運用を可能にするとしている。
一方、西日本鉄道(西鉄)が導入したディーゼルバス改造のEVバス「レトロフィット電気バス」に技術提供した実績もある同業他社の華徳動能(RAC)は、夜間充電型のモデルを展開。車両には中国企業傘下の電池メーカー、エンビジョンAESCグループが日本で製造する第4世代バッテリーを搭載し、充電ステーションを通して車両の走行距離や消費電力を測定してバッテリーに負荷の少ない運行管理を支援するなど、優れた充電管理システムをアピールする。
また、充電を行う営業所の設備に太陽光発電を取り入れ、その電力をバスの充電のみならず営業所や整備所にも活用することで、インフラトータルでの環境負荷や停電時のリスク低減を図るとしている。
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