「IT大国」台湾の電気バスはどれほど進んでいるか 「自国開発・海外生産」で世界販売拡大目指す
台湾を代表する受託生産最大手のフォックスコンも動きを加速させている。2023年2月には60億台湾元を投じ、台湾南部の高雄にバッテリーの技術向上と量産化を図る研究センターを起工、2024年6月の稼働開始を目指す。
同社が展開する12m級EVバスが「Model T」だ。継ぎ目の少ない外観や柱と一体化した停車ボタンなど細部にもこだわりがみられる設計は、2022年のグッドデザイン賞を受賞している。台湾以外では2022年11月、バリ島で開かれたG20首脳会合でシャトルバスとして5両が採用された。車体には関連企業のロゴがちりばめられ、その存在をアピールする大きな機会となった。
バリ島で導入された車両は、パートナーである現地のエネルギー大手、インディカ・エナジーと共同出資のフォックスコン・インディカ・モーター(Foxconn Indika Motor)社を通じ政府へ寄付されたものだ。今後は同社を通じて製造から運用、ローカライズまでを行うBOL(Build-Operate-Localize)と名付ける事業方式を導入、さらにフォックスコンを中心とし、加入業者が63カ国2300社を超える電動車製造のプラットフォームであるMIH(Mobility In Harmony Open EV Platform)を活用して海外向けの量産化を目指す。
日本と協業の可能性は?
「世界の工場」とも言われるフォックスコンのEVバスが日本と手を組む可能性はあるのだろうか。同社は、Model Tが左右の設計を共通化させ右側ハンドルへの対応も容易であることをアピールしたうえで、タイやマレーシア、日本での市場を狙うと発表しているものの、明確な回答は得られなかった。
しかし、日本企業のMIH加入社数は既に100社を超えており、充分に可能性はあるだろう。日台の経済政策を専門とする景文科技大学の陳東瀛准教授は「価格面では難があるものの、水素を利用した燃料電池の技術は日本の強み。システム開発に強い台湾とタッグを組めれば、いい方向が見えてくるのでは」とユニークな意見を述べる。
台湾のみならず、東南アジア各国では信頼性の高さから日本メーカーのエンジンを積んだバスが長年使用されてきた。しかし、ここ10年ほどは低価格の中国製の台頭で置き換えが進み、そして今、それがEVバスに置き換わろうとしている。台湾の業界関係者は2023年に大まかなテストフェーズを終え、2024年には本格的な生産体制に突入していくと語る。この目まぐるしい流れに日本はどう立ち向かっていくのか、方向性が問われる。
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