ジム・ロジャーズ「コロナ禍後何に投資すべきか」 「日本終了」でも豊かになる方法を教えよう

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「労働者を増やす方法はシンプルだ。とにかく子どもを増やし、移民を受け入れるしかない」とロジャーズ氏は繰り返します。

政府は現在「異次元の子育て支援」として躍起になっていますが、これから生まれる子どもが現役世代の労働者となるまでには時間がかかります。実際、2040年頃までの人口構成に影響を与えることはできません。

それにしても、なぜ日本はこれまで少子化対策を怠ってきたのでしょうか。ひとことで言えば、「子どもを育てるには当面の間はコストになるので、先送りされてきた」と推測されます。

岸田政権は2023年度予算で過去最大の114兆3812億円を計上しました。中でも防衛費については1兆4214億円増やす一方、異次元の子育て支援についても、1233億円増額しました。

しかし、防衛費の増額に対して子育て支援の金額や内容は十分とは言えません。

そもそも、1人の子どもを成人まで育てあげるには継続的な費用と時間を投入し続ける必要があります。これに対して、政府の補助などは単発的だったり、十分な金額ではない場合が少なくありません。また、育児や子どもの教育のサポートをしながら、父親や母親が働きやすい職場環境を提供することも必要でしょう。

ロジャーズ氏は「日本の2023年度予算には到底賛成できない。国防に予算を投じても、子どもが増えなければ兵士がいない。アメリカから時代遅れの武器を買うのではなく、近隣諸国との外交で友好関係を築くべきだ。そのほうがよほどよい」と追加取材の際に答えていました。

少子高齢化の日本で老後資金はいくら必要か

「下手に防衛予算を増やすよりも外交が重要」とのロジャーズ氏の主張はもっともですが、では一般の日本人が必要な額はどれくらいでしょうか。

「一時期、日本では定年後の生活費として『2000万円必要』などと言われていたと聞く。実際のところ、どれくらい必要だろうか?インフレ率、運用リターン以外にも、為替の計算により必要な資金は大きく変わってくるだろう。つまり、重要なことは、ひとりひとりがじっくり考えて、自分に合う老後資金を算出することだ」

外国との成長率の差が開き、国力が落ちることになれば、為替レートは一般に円安に推移すると推測されます。現在の為替の水準でもエネルギーや食料品を海外から調達するのに支障をきたしているように感じます。今後、為替レートがさらに円安に推移したら輸入物価が上昇することが予測されます。そのために、日本で生活をしている人にとっても為替レートの行方は他人事ではなく心配すべきことなのです。

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