ジム・ロジャーズ「コロナ禍後何に投資すべきか」 「日本終了」でも豊かになる方法を教えよう

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しかし、ロジャーズ氏は「もし日本が捨てられても、個人が充実した人生を送ることはできる」と言います。

国を変えることは非常に困難かもしれませんが、自分自身の人生をコントロールすることは可能だからです。住む場所、働く場所は自由に選ぶことができます。また、海外移住はハードルが高くても、日本にいながらにして外国株に投資するなど、外国を中心とした資産運用を行うことは十分可能です。そうすれば、世界の経済成長の恩恵を受けることができます。

ロジャーズ氏は今、何に注目しているのか 

ロジャーズ氏におすすめの投資対象を聞いたところ、「私なら貴金属や商品に投資をする」と答えてくれました。

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「私は今、銅や鉛を保有している。今後、従来のガソリン車から電気自動車への転換が起きれば、電気自動車の生産のために銀などさまざまな貴金属が必要になってくる。
私はアクティブ投資よりイデックス投資のほうが効果的だと考えるので、あなたがもし関心があれば、貴金属のインデックスETF(上場投資信託)を勧める」

このように、激動する時代でも未来を予測することによって、個人が投資やビジネスでチャンスを掴むことは可能です。国がどんなに厳しい時代になったとしても個人が成功することは可能なのです。

私がロジャーズ氏に5年にわたって取材をし、学んだこととして「適切な時代に、適切な場所に自分が身を置く」ということの重要性があります。ロジャーズ氏は2007年からシンガポールに移住をしていますが、経済が繁栄し、不動産価格も上昇をしたよい時代に同国に移り住んだと感じます。同じように国の上昇気流に乗って富を築いた日本人もたくさんいます。

「本書を手に取った皆さんには、ぜひとも自分自身を守る方法を学び、きたるべき将来に備えてほしい。今はそれほど危機感を抱いていない人も、きちんと学べば日本の行く末が心配になり、そうなれば将来に備えて計画的に準備を進めていくことができる」

将来のリスクをしっかりと認識し、資産保全やリスキリング(新たな仕事に適応するために必要なスキルを得る)などの準備をしておけば将来慌てふためく必要もありません。先行きが見えない時代だからこそ、戦略的ロードマップを作りましょう。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

花輪 陽子 ファイナンシャルプランナー

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はなわ ようこ / Yoko Hanawa

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。外資系投資銀行を経てFPとして独立。2015年から生活の拠点をシンガポールに移し、東京とシンガポールでセミナー講師など幅広い活動を行う。『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』 (講談社+α新書) 、『夫婦で貯める1億円!』(ダイヤモンド社)など著書多数。花輪陽子オフィシャルサイト 海外に住んでいる日本人のお金に関する悩みを解消するサイトも運営。まぐまぐ「花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編」も。

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