「貧困大国」アメリカは、衰退していくのか

人気エコノミスト中原圭介氏に聞く【前編】

中原:東洋の大国であった唐も、全く同様の経路で滅んでいます。中間層が失われた国は滅びる。現代においては滅びるということはなくても、衰退は避けられない。それが歴史の教えるところなのです。詳しくは拙書をご覧いただければ、国家にとって中間層がいかに大切であるかを理解していただけると思います。

新自由主義の軌道修正に転じたアメリカ

三井:それでは、アメリカの衰退は避けられないのでしょうか?

中原:アメリカの政治家はそこまで愚かではないと、私は思っています。歴史を遡ると、中間層が没落した国は中核的な経済活力を失い、格差拡大によって国としてのまとまりを保てなくなります。そして、衰退への道をたどっていくことになるのです。その流れを修正できるとしたら、その機会は今しかありません。

また、中間層はどの国でも向上意欲が強く、教育熱心な勤労者たちです。この層が生産活動と国の政治に参画し、きちんと生活水準を維持できているかどうかが、一国の盛衰を決めていると言っても過言ではありません。

そんなことは、オバマ大統領はもちろん、多くの政治家がここ数年で理解し始めていることでしょう。その証左として、アメリカの政治が新自由主義政策を少しずつ軌道修正してきているように感じる事例が多くなってきました。ウォルマートやマクドナルドの賃上げなどは、政治的圧力なしでは成し遂げられませんでした。

もちろん、金融行政も例外ではありません。FRBのイエレン議長も、バーナンキ前議長とは異なり、「何が何でもインフレにしなければならない」という愚かな執念は持ち合わせていないようです。物価上昇率よりも雇用の質を重視する彼女の姿勢を、日銀の黒田総裁にも見習ってほしいところです。

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