飲みながら食べると「酒がまずい」と思う人の誤解 お酒は「チビリチビリ」と飲むのがオススメ

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食べながら飲むこと──これがいちばん理想的なのです。

食べることは、栄養のバランスをとることにもつながります。昔から「大酒飲みは、肝硬変になる」と言われていました。聞いたことがある人も多いでしょう。しかし、必ずしも、お酒が肝硬変を引き起こすとは限りません。

むしろその原因は、タンパク質、ビタミンなどの不足をまねく粗食にあるとする考え方が有力です。

酒好きはとかく食べ物をとらない傾向にありますが、これが怖いのです。

酒の肴は、お酒をおいしく飲むために必要なだけではなく、肝臓と体を守り、栄養バランスを保つために必要だと忘れないようにしたいものです。

飲み方の極意はチビリチビリ

お酒はチビリチビリ飲むのがもっともよいとされています。なぜでしょうか。

肝臓のアルコール処理能力は、体重10キロあたり1時間1グラムぐらいのものです。だから「駆けつけ3杯」「遅れ3杯」などというのは、愚の骨頂です。早く酔いたいというならこれもいいのかもしれませんが、肝臓のことを考えたら最悪の飲み方ということになります。

飲んべえだと自認する人のセリフは、おおよそ決まっています。

「肴をあまりとりすぎると酒がまずくなるんだよ。酒さえあれば、何もいらないくらいだ」

こういう人たちが好むものといえば、お新香、塩辛といった類のものばかり。これで一杯というのがたえられないという人が多いのですが、これは血中の塩分量を増し、渇きを誘い、さらに飲む量をふやすだけ。

第一、酒量ばかりがふえて、肴のことを忘れてしまいます。泣いているのは肝臓です。アルコール分だけでは、急激に吸収されて、肝臓を直撃するからです。

これでは、肝臓の処理能力がたちまち臨界に達し、必要以上の負担がかかります。

「わかってはいるんだけど、どうしても肴はねえ……」という方には、酌をする相手をそばにおいて飲むことをおすすめします。笑わせてもよし、悩みを聞いてあげるのもよし、色恋の話でもいいでしょう。

話しながらの一杯は飲むスピードが落ちるので、ゆっくりとアルコールを吸収できます。反対に肴も食べず、酌も受けず、ただひたすら杯を重ねることだけはやめてください。

若い人に多い傾向ですが、食事はインスタントラーメン、飲む時の肴はポテトチップスだけ。こういった生活は、栄養不良とビタミン不足を呼ぶおそれがあります。たくあんやお新香の類、いわゆる低栄養での一杯は、ビタミンB1不足から脚気様症候群を助長する危険もあるのです。

お酒にはカロリーがありますが、栄養はほとんどありません。肴を十分に食べ、話しながらゆっくりと飲む──これが理想的な飲み方なのです。

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