アマゾンが配達員の「起業支援」まで踏み込む訳 自社配送の拡大へドライバー確保に“奥の手"

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ドライバーの待遇を守ることに加え、働き方も重視する。業界のドライバーは週休1日が多いが、ワントラックのドライバーの多くは週2日休む。ほかの業界並みの環境を整えることも若い人材を呼び込む要素になる。環境改善の取り組みは、配送の品質にもつながる。「小さな火種から大きな火になっていくはず。できる限りのことをやりたい」(目羅社長)。

アマゾンが起業家支援に乗り出したのは、自社の配送網を強化する狙いがある。現在は主に、ヤマト運輸や佐川急便など宅配大手パートナーへの委託と自社配送網の2つの方法で配送している(下図)。

自社配送網は、特定の地域を担当するデリバリーサービスパートナーに加え、2019年に個人ドライバーと契約する「アマゾンフレックス」を本格展開。2022年には地元商店のオーナーが空き時間に配達する「Amazon Hub デリバリー」を始動させたばかりだ。

自社配送を増やす狙い

起業家支援はデリバリーサービスパートナーの育成にあたる。パートナー企業を増やし、都市部などで増加する荷物量に対応する構えだ 。また、近年はデリバリーサービスパートナー各社から「荷物量が多く、現場が苦しい」との声も多数聞かれていた。配送能力を増強し、効率を引き上げる狙いがある。

業界ではドライバーの取り合いが続き、アマゾンも好条件でなければ人材確保は容易でない。アマゾン・ロジスティクスのアヴァニシュ・ナライン・シング事業本部長は「配送業者がビジネスに成功した場合、年間1200万~2400万円の利益が見込める。プログラムによって、より確実に荷物を届けられるようになる」と強調する。今後、都市部を中心に全国で募集をかけていく方針だ。

ワントラックのような若い運送会社を全国規模で育成し、一段とドライバーを呼び込むことができるのか。アマゾンは中長期を見据えた配送能力の「囲い込み」に本気になったといえそうだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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