ドコモのdTV改めLemino「テレビの次」になれるか コンテンツを「見つけやすくする」仕組みの全貌

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Leminoオリジナルドラマ『さらば、銃よ 警視庁特別銃装班』は本広克行氏が総監督を務め、舘ひろしと仲村トオルが主演(© NTT DOCOMO, INC.)

本広克行氏が総監督を務め、舘ひろしと仲村トオルが主演する『さらば、銃よ 警視庁特別銃装班』は『踊る大捜査線』と『あぶない刑事』を足して『西部警察』を掛け算したようなドラマで、カーアクションとガンアクション満載だという。

またライブコンテンツにも力を入れ、7月に行われる井上尚弥のビッグマッチも独占配信する。

目指しているのは「メディア」

SVODサービスとしてできることは何でも具現化する勢いだが、話を聞いていくとこうした当初の興味とは別に感じたのが、Leminoの目標がdTVとはかなり違うことだった。Leminoは有料モデル(月額税込990円)だが、dアカウントを持っていれば、無料でも使える。もちろん視聴できるコンテンツに制限はあるが、無料でも十分楽しめるコンテンツを充実させているという。当然無料の場合、CMを挟むことになる。

有料と無料のハイブリッドタイプのVODサービスは海外では多いようだしABEMAもその形態だ。だがきっと、有料が幹で足りない部分を無料の広告収入で補う考えだろうと聞くと、意外な答えが返ってきた。

「基本的には2頭立てですが、将来的には無料領域を大きくしていきたい」さらに田中氏はこう続けた。

「無料も作った背景に、9000万のdアカウントユーザーがいまして、この人たちにもっとドコモのサービスを使っていただける場を作っていきたい。それで無料モデルも作ったのです。無料領域はどんどんdアカウントユーザーに使っていただきたいですし、キャリアフリーのユーザーにも使っていただきたい。そうやってベースを広げていくことによって、1つの大きなメディアとしての力がついてくるんじゃないかと思っています」

「メディア」という言葉を田中氏が口にしたことに驚いた。dTVとの最大の違いはここかもしれない。Leminoはサービスというより、メディアを目指している。

サービスとメディアは違うものなのか? どこが違うのか? これは人によって捉え方が違うし、どれが正解とは言い難い。私の定義は、「今何が起こっているか」を伝えるのがメディアだ。あるいは、「今何が面白いか」を提供するのがメディアとの言い方もできる。テレビ放送はそうだった。

Netflixはこの定義ではメディアではなくサービスだ。またYaoo!ニュースはメディアが作ったニュースを集めた二次的メディアとも言える。

メディアは「今何が起きているか、何が面白いか」が気になるので時々見に行く。Leminoがそういう存在になれるかはコンテンツの揃え方次第だろう。今面白いと言えるオリジナルコンテンツが提供できるか、あるいは既存のコンテンツをそのために編成できるか。

私はその意味でニュースが大事だと考えている。そしてLeminoにはFNNプライムオンライン(フジテレビ系列28局のニュースサービス)もコンテンツに入っている。ニュースもうまく活用しながらオリジナルをどう揃えるか。なかなか大変な作業になりそうだ。だが何と言っても利益だけで1兆円もある企業なので、本気を出したらテレビ局以上の存在になる可能性はある。

ひょっとしたら、テレビの次のテレビがLeminoかもしれない。そんな期待をしている。

境 治 メディアコンサルタント

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さかい おさむ / Osamu Sakai

1962年福岡市生まれ。東京大学文学部卒。I&S、フリーランス、ロボット、ビデオプロモーションなどを経て、2013年から再びフリーランス。エム・データ顧問研究員。有料マガジン「MediaBorder」発行人。著書に『拡張するテレビ』(宣伝会議)、『爆発的ヒットは“想い”から生まれる』(大和書房)など。

X(旧Twitter):@sakaiosamu

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