相場にどう影響?「政治家の発言」読み解くヒント 日本やアメリカの要人のコメントを振り返る

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もっともこのときは、中国で不動産大手、恒大集団のデフォルト懸念が広がっていたため、これもグローバルに株価を押し下げていましたから、金融所得課税の問題だけが日経平均株価急落の背景だったわけではありません。

しかし、金融市場に促される形で、結局10月10日、岸田首相はテレビ番組で、「当面は(金融所得課税を)触ることは考えていない。まずやるべきことをやってからでないとおかしなことになってしまう」と発言。「さまざまな課題のひとつとして金融所得課税の問題も挙げたが、それを考える前にやることはいっぱいあるということも併せて申し上げている」「そこばかり注目されて、誤解が広がっている。しっかり解消しないと関係者に余計な不安を与えてしまう」と述べ、発言の修正を余儀なくされたのです。

これを境に日経平均株価も持ち直していきました。この一連の出来事は、一国のリーダーの発言が金融市場に与えるインパクトがいかに大きいか、また金融市場の反応次第では、政策も変更を迫られる可能性があることがよくわかるエピソードといえるでしょう。

アメリカ大統領のスピーチにも注目

また、アメリカ大統領については、定期的に行なわれているスピーチなどで、もともと注目度が高いものもあります。

たとえば、アメリカの大統領の「三大教書」は、注目度が高いイベントです。教書とは、大統領の議会に対する現状報告および政策提案のことです。大統領には法案提出権がないため、合衆国憲法により、「教書」という形で議会に政策提案を行うことが義務付けられているのです。

「一般教書」「予算教書」「大統領経済報告」のうち、1月下旬に行われる一般教書演説(State of the Union Address)などは、とくに注目されます。これは、アメリカ大統領が上下両院の議員に対して、国の現状に対する認識と、今後の政策を述べる演説です。

また、2月中旬に発表される予算教書(The Budget Message of the President)は、翌会計年度の予算案や、中長期の政策、国防費などが示され、「大統領経済報告(Economic Report of the President)」は、当面の経済情勢に関する判断と政府の施策を示す内容となります。

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