どうする?突然の「列車運休」旅慣れた人の対処法 計画通りに行かなくても楽しむ余裕を持とう

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翌朝、秋田に向かうため宮古6時45分発、盛岡行きの列車に乗車した。2両編成の車内には朝日が射し込んでいる。レールと車輪の軋む音を聴きながら閉伊川の流れを眺める。

閉伊川
朝日が射し込む谷間を流れる閉伊川(筆者撮影)

7時57分、川内駅に到着。ところが停車時間の4分を過ぎても動く気配がない。「待ち合わせの宮古行き列車が落石と衝突したとの情報が入りました。この列車も運転を見合わせます」と案内が入るではないか。

結局、私の乗った列車は運転打ち切りが決まり、1時間後に代行タクシーが4台到着した。15人ほどの乗客が分乗し、9時ちょうどに出発。国道106号を快調に進む。メーターがどんどん上がっていく。

山田線列車代行タクシー
山田線は落石で運転打ち切りに。川内駅に到着した列車代行のタクシー(筆者撮影)

こんなことはよくあるのか運転手に聞くと

「山田線は鹿だの落石だの落ち葉だのしょっちゅうですねぇ」

私が乗るはずの新幹線は9時45分発である。うまくいけば間に合うのでは、と期待したが、盛岡市街に入ったところで、遠くに見える高架をその新幹線が駅に向かって渡っていく姿が見えた。

新幹線には間に合わなかった

盛岡駅には9時48分に到着した。メーターは1万5900円と表示されている。

山田線は赤字路線である。JR東日本によると2021年度の営業係数(100円の収入に対しかかる費用)は盛岡―上米内間:1658/上米内―宮古間:5877となっている。タクシー4台分の料金、それに落石処理の費用もかかる。また、この日4年ぶりに開催される「宮古毛ガニまつり」に合わせて運行予定だった臨時快速宮古毛ガニ号も運休となってしまった。

タクシーは盛岡まで直行したとはいえ、川内―盛岡間の所要時間は列車では1時間半かかるところが約50分であったし、鉄道の利点が見えないのは心配だ。

新幹線に乗り遅れたものの、余裕を持った行程にしていたので試合には間に合ったが、当初立てた計画があっけなく崩れることがある。こんなときどうするべきか。どのように予定を取り戻すか考えて、こんなときこそ旅の醍醐味とむしろ楽しむ余裕を持ちたい。

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