旅行会社が明かす「夜行列車ツアー」高いハードル 鉄道会社に理解者がいないと企画が進まない
木の床に網棚、青いモケットのボックス席、白熱灯、開閉できる窓……。
「夜行列車」と聞いて思い浮かぶイメージだ。
昭和感あふれる旧型客車の郷愁に、刺さる人も多いだろう。
かつて夜行列車は、安価で遠くへ行ける手段として利用されていた。ホテル代が浮くうえ、寝ている間に列車が目的地まで運んでくれるので、こんなに効率がよい移動方法はなかった。
しかし高速道路の整備とともに、夜行列車より手軽に長距離移動ができる高速バスなどが登場。だんだんと夜行列車は廃止に追い込まれた。
今となっては、毎日定期運行する夜行列車は、唯一、寝台特急サンライズのみになってしまった。そのためか、サンライズの座席争奪戦は激しく、週末ともなると、きっぷが取れないことも多い。夜行列車としての意味合いは多少変わったかもしれないが、相変わらずの人気と言える。
そんな中、旅行代理店大手の日本旅行はしばしば夜行列車ツアーを催行している。
1つのボックスを1人で使える
「あの感動をふたたび 重連電機・12系客車夜行急行の旅」と題されたツアーは、2019年6月に秩父鉄道で行われた夜行急行企画だ。
通常、秩父鉄道の羽生―三峰口間は、2時間15分ほどで乗り通せる。しかしその区間を行ったり来たり、停車したり降りたりなどしつつ、夜通し走ることにより、このツアーでは約7時間半を列車で過ごすこととなる。
集合場所の熊谷駅で、参加者は座席指定の書かれた硬券のきっぷをもらう。ホームにはたくさんの人が、今回乗車する臨時急行「三峰51号」を待ち構えている。「急行三峰号」と書かれた、この日のための特別なヘッドマークを付けて列車が入線してくると、いっせいにシャッター音が鳴った。
この日は電気機関車が2両(重連)、12系客車が4両の編成。12系客車は国鉄時代に夜行急行として使われていた車両で、通常はSL「パレオエクスプレス」で使用されている。折戸式のドアがいい感じだ。
ボックス席は基本4人掛けとなっているが、料金によって2人で1ボックス、1人で1ボックスが専有できる。私は1人で1ボックスを使用させてもらった。
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