日本より便利?アジア各国「空港鉄道」最新事情 市内の駅で飛行機の搭乗手続きができる都市も
日本よりも便利な点として、アジアの空港アクセス鉄道の中には市内の駅で荷物のチェックインを含む搭乗手続きができるところがある。かつて日本でも、空港リムジンバスが発着する東京シティエアターミナル(T-CAT)や大阪シティエアターミナル(OCAT)などで行われており、関空アクセス特急「はるか」や「ラピート」は荷物室を設けた。成田エクスプレス運行開始の際、市内チェックインの対応を行う可能性が取り沙汰されたこともあったが、残念ながら現在は存在しない。
市内の駅で事前チェックインができると、空港へ手ぶらで行けるという利点だけでなく、例えば午後・夜便で出発の際、朝にホテルを出て先に荷物を預けてから市内で活動するプランを組み立てることができ、忙しいビジネスマンにはありがたいサービスと言えよう。筆者は先日台湾に立ち寄った際、桃園空港MRTの台北駅に設置された自動チェックイン機のおかげで、ギリギリまで市内で用事をこなすことができた。
一方、バンコクの空港鉄道では前述のように特急が廃止となり、さらに市内チェックイン用に開設された大きなスペースも使われないまま放置されているのは残念だ。
空港の利便性を左右するアクセス鉄道
こうしたサービスで最も優れているのは香港の機場快線だろう。香港では中国返還翌年の1998年に、市内から遠いランタオ島沖に現在の空港ができた。それまでの啓徳空港は市街地からごく近いところにあったため、35kmも離れた新空港へのアクセスを心配する声も多かった。
だが、市内中心部から20分強で着く空港アクセス鉄道の敷設、さらに市内チェックインサービス(現在は、コロナ禍の影響で休止中)のおかげで、空港までの距離感を気にする人は瞬く間にいなくなった。鉄道の信頼性の高さが空港そのものの利便性を高めたといえるだろう。実際、かつて香港在住だった筆者は啓徳空港時代に道路の渋滞で何度か飛行機に乗り遅れたことがあった。軌道系交通の信頼性はバスやタクシーとは比べ物にならないほど高いと感じる。
この数年間でも台北(桃園)やジャカルタと、アジア主要都市の空港アクセスが鉄道の整備で大幅に改善されたのは非常に喜ばしいことだ。各都市ならではのさまざまなローカルルールによる面倒はあるとはいえ、鉄道のおかげで「時間が読める旅」ができるその意義は思った以上に大きいものかもしれない。
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