自家製キャビア開発、ホテルマンの凄まじい奮闘 輸入に頼る中で、国産の開発が急がれている

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東武ホテルマネジメントですべての調理に携わる、取締役 統括総料理長の林秀之氏は次のように語る。

「塩漬けにはヒマラヤ岩塩を使用しているので、とがった味わいではなく、丸みのあるまろやかな食味に仕上がっています。塩分濃度は、多すぎるとキャビア本来の味わいが感じられず、少なすぎると日持ちせず、商品化できません。何度も試行錯誤してみたところ、3%がよいという結論に至りました。マイナス2度で1週間熟成しているので、塩味がだんだんと浸透していき、ちょうどいい食感に仕上がっています」

東武ホテルグループのシェフを集めて自家製キャビアの試食会を行ったところ、高い評価を得た。また「スカイレストラン634」などで自家製キャビアを提供すると、ゲストから「自家製キャビアを食べたのは初めて」「フレッシュでとてもおいしい」と大きな反響を呼んだ。

こうした反応を受けて、2023年2月には7匹(合計71キログラム)を仕入れて合計12キログラムのキャビアを生産。東武ホテルレバント東京と仙台国際ホテルでメディア発表会を行った。さらに同年3月19日に開催された仙台国際ホテルの「サイ・イエングアンリサイタル&自家製キャビア 至福の晩餐会」では、150人のゲストに対して、合計2.7キログラムもの自家製キャビアが提供された。

食品ロスの課題もある

評判も上々だが「東武ホテル オリジナルキャビア」にはまだ課題が残っている。それは、食品ロスへの対策だ。

現在、定期的に自家製キャビアが提供されているのは、東武ホテルレバント東京「スカイツリービューレストラン 簾」と「スカイレストラン634」、日光金谷ホテル、仙台国際ホテルだけである。

だが仕入れた7匹で合計200瓶もの自家製キャビアを生産(1瓶で50グラム)したため、この施設だけではとてもさばききれない。

20グラムもあれば5000円程度することを鑑みると、50グラムがいかに多いかわかるだろう。しかも、食味に重点を置いた3%という塩分濃度では、瓶を開けてしまえば3日間しかもたない。こうなると細かいコントロールが利かず、食品ロスが大量に出てしまう。

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