「デンマーク選挙に出馬」日本人女性の驚きの体験 制度、活動、政治への意識などさまざま異なる
「4年に1度選挙がある年は、社会学の授業で地域の自治に重点を置いて学びます。まず選挙前に、自分の地域の勢力図から、なぜこの政党が力を持ってきたのか、なぜこういう連立なのか、各政党の歴史なども調べます。
そして、選挙で話し合うべき話題、自分たちが知りたいこと、自分たちが将来住みたい社会などについて考え話し合ったうえで、学校に実際の候補者たちを招いて討論会をします。さらに、中学生はまだ選挙権がないため、校内で選挙管理委員会を組織して選挙当日に模擬投票を行い、実際の結果と見比べたりするのです」
朋子さんは2021年11月、ロラン市議会議員選挙に立候補した。きっかけは、ロラン島が急激な国際化に直面したことだ。
「ロラン島では、EU最大のインフラ事業として海底トンネルプロジェクトが進行中です。事業に関わる人が家族で来て、人口約5万8000人ほどの島に120数カ国の人が暮らす状態に。田舎の自治体が急激な国際化を経験し、不具合が出てくる中で、移住者の私なら地元と外国人をつなげられるといろんな方に出馬をすすめられたんです」
選挙に関心を持っている子どもたち
立候補すると、たくさんの応援を受け、寄付も集まった
「小学生から『どうして選挙に出るの?』と声をかけられたり、中東から来た移民の子に『僕も立候補したいと思ったらデンマークではできるの?』と聞かれたり。高校生には『持続可能な地域にするために、いちばん重視すべきことは?』と問われたりもしました。子どもの頃から選挙に関心を持っていると実感しました」
投票日の様子も日本とはかけ離れている。
「ロラン市では20時に投票所が閉まった後、候補者は家族や仲間と市庁舎に集まります。生のバンド演奏があり、お酒や料理が振る舞われる中で、みんな頑張ったねとねぎらい合って開票結果を待ちます。結果が出始めると、誰を市長にするか、連立をどう組むかなど、別室にいろいろな政党の人が出入りしながら決めます。
私が出馬したときは25人の枠を94人で争う激戦で、私を含めて当選しなかった人はもちろん残念だけど、みんな自分ができることはやり切ったとすがすがしく、当選した人をおめでとうと祝福し、あとは任せたという感じ。すごく和やかでした」
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