「デンマーク選挙に出馬」日本人女性の驚きの体験 制度、活動、政治への意識などさまざま異なる
「仕事や家庭などのバックグラウンドがあり、そこで感じた課題を解決するために立候補するケースがほとんど。ロラン市の市議会は日当が1年170万円ほどで、議員になっても仕事を続けながら、介護や福祉などリアルな現場の知見を生かしています」
立候補の条件も異なる。18歳で選挙権を得るのは日本と同じだが、18歳から被選挙権もあり、実際に10代で国会議員になる人もいるという。
また、デンマークには供託金の制度がない。日本で選挙に出るには供託金を法務局に預ける必要があり、一定の得票に達しなければ没収される。都道府県議会議員60万円、都道府県知事300万円などだ。
「売名目的の立候補や候補者の乱立を避けるための制度ですが、実際にはお金があるかどうかで選民している。民主主義なのにおかしいですよね」と朋子さんは問題提起する。
選挙カーやポスター掲示板もない
デンマークの選挙活動は、選挙カーもポスター掲示板もない。候補者は許可された街灯や街路樹にポスターを貼る。「ポスターを作らない若者もいます、選挙が終わるとゴミになるだけだからと。自分のジャケットに大きなQRコードを貼り、情報はここで見てくださいと言っていました」
1カ月の選挙期間中、候補者に直接話を聞ける機会が豊富にあるのも日本との大きな違いだ。例えば、候補者はまちの広場やスーパーの前にテーブルを出し、コーヒーやチョコ、手作りのお菓子などを並べる。
「皆さんの意見を聞かせてください」と呼びかけ、候補者と住民がコーヒーを飲みながらフラットに話せる場になっている。
また、候補者たちの公開討論会が連日行われる。企画するのは地域の自治会や組合、高齢者協会、若者評議会、テレビ局、小中高校など実にさまざま。
「誰でも参加できる公開討論会は、民主主義の醍醐味。ほかの人がどう思っているか、どんな議論が生まれるか、議論の中で課題を解決する方法が出てくるかなど、みんな議論を聞くのもするのも好きなんです」
デンマークでは、子どもにとっても選挙が身近な存在となっている。中学と高校では、授業の一環として全校生徒が選挙について学び、討論会も開くからだ。
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