金価格がドル建てで史上最高値になるのはいつか すでに円建ては高値更新、目先は下落懸念も?

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さらに最重要指標の1つである3月の雇用統計(7日発表)では、非農業部門の雇用数(NFP)が前月比23.6万人増加と、ほぼ予想通りの結果となったが、政府を除く民間の雇用数は180.9万人と予想以下の伸びにとどまった。こうした弱気の経済指標を受け、アメリカの景気が後退へ向かっているとの認識がますます高まっている。

景気後退懸念が高まれば、株価の調整圧力が強まり、株式市場から流出した資金の逃避先として金市場が選ばれる可能性は高い。そうした場合は、金価格がさらに上昇する展開も期待できそうだ。

NY金先物は終値ベースで見ると、期近限月(6月)ではすでに2020年8月8日につけた1トロイオンス=2051.5ドルの史上最高値を射程距離にとらえている。市場のボラティリティー(変動率)は一時に比べ落ち着いているが、いつ最高値を更新する展開となっても不思議ではない。

インフレの高止まりに、足をすくわれるリスクも

こうした金に対する強気な見通しに、死角はないだろうか。ひとことでいえば短期的には買われすぎと言ってもよく、何かのきっかけでポジション整理の売りでいつ大きく押し戻されても不思議ではない。

ではそうした売りのきっかけとなりそうな材料は何かと言われれば、やはりアメリカを中心とするインフレ高止まりの懸念だ。この場合はFRBが利上げを継続せざるをえなくなるとの見方から、金価格が下落する可能性が高まる。

今回、一連の銀行破綻がもたらしたもっとも大きな問題は、事実上の金融緩和によって、落ち着く兆しが見え始めてきたインフレが、再び高まる可能性が浮上してきたことだ。

FRBはSVBなどが破綻した後、同様の問題が他の銀行に波及するのを防ぐため、銀行への融資枠の要件を大幅に緩和した。当局の迅速な行動によって危機拡大を抑止することができたことは間違いない。

だが、当然副作用もある。昨年6月に始まった量的引き締め策(QT)によってFRBのバランスシートは着実に縮小していたが、今回の融資拡大によってブレーキが掛かり、再び増加してしまった。

また、この先も金融機関に同様の問題が生じた場合、「当局が迅速に救済案を打ち出してくれる」との期待が高まることによって、モラルハザードが生じる危険性も無視できない。それを見越して投資家が再び積極的にリスクを取るようになれば、資産価格の高止まりや旺盛な消費意欲を呼び起こし、収まりかけているインフレ圧力を再び強めることも十分にありうる。

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