金価格がドル建てで史上最高値になるのはいつか すでに円建ては高値更新、目先は下落懸念も?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
日本での金の小売価格は現在1グラム当たり税込み9500円前後。1万円突破はすぐかもしれない(写真:ブルームバーグ)

金(GOLD)市場が騰勢を強めている。やはり、きっかけとなったのは3月10日に起きたアメリカのSVB(シリコンバレーバンク)の経営破綻だ。

これを発端に銀行システムに対する不安が一気に高まり、安全資産としての金に対する需要が急増した。国際指標であるニューヨーク(NY)商品取引所(COMEX)の金先物価格はあっという間に1トロイオンス(約31.1グラム)=2000ドルの大台を回復する展開となった。

景気後退に対する懸念は「金価格の下支え要因」に

2月のコラム「今は『金を買う絶好のチャンス』かもしれない」(2月12日配信)執筆時には、金は1800ドル台前半から半ばで推移していたのだから、相場は一気に10%以上も上昇した計算になる。

もっとも、方向性こそ正解だったものの、SVBの破綻など予想外の展開に助けられたことも確かだ。当初の予想ではFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)が1年以上積極利上げを行ったことの影響で景気が悪化、その結果、景気後退に陥る懸念が高まり、安全資産としての金の需要が相場を押し上げるシナリオを想定していたからだ。

それでも銀行破綻という想定外の危機が発生したことで、今後の展開に関してはかなり見通しが不透明になった。そこで今回は金市場の先行きを、改めて考えてみることにしたい。

結論から言えば「アメリカの景気減速や景気後退に対する懸念がこの先も相場の大きな下支えとなる」との見方は、変える必要がなさそうだ。すでに複数の重要な経済指標がアメリカ経済の減速を示している。例えば、4月4日に発表された2月の求人労働異動調査(JOLTS)では、求人数が前月比で63.2万人の大幅減少となり、2021年5月以来で初めて1000万人を下回った。

また3日に発表された3月ISM製造業景況指数も46.3と、5カ月連続で好不調の分岐点とされる50を割り込み、2020年5月以来の低水準を記録した。さらに5日の3月ISM非製造業景況指数も51.2と、前月の55.1から予想以上に低下した。

次ページただしこのままずっと金価格が上昇するとは限らない
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事