常識を疑って「年金」を普通より多くもらう方法 ほとんどが選ぶ65歳から受給は本当にお得?

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年金はそれぞれの事情に合わせたお得な受け取り方法がある(写真:masa/PIXTA)
老後に備えてライフプランを立てる際、大きな影響があるのが年金の受け取り方法です。制度が複雑なうえ、選択肢も多く、一つ間違えれば生涯受給額も大きく変わってきます。本稿は『何歳からでも間に合う初めての投資術 - 銀行預金しかないあなたのための-』より一部抜粋・再構成し、それぞれの事情に合わせたお得なケースをご紹介します。

受給開始時期を決めるポイント

今後、考えておかなければならないのは「税制や制度というものは常に変わり得る」ということです。シニアの生活を支える年金も例外ではありません。2022年度の公的年金支給額は2021年度に比べて0.4%減額となりました。年金支給額は毎年4月に物価や賃金の変動に応じて改定されるのですが、2022年度の改定で減額になった理由は新型コロナウイルス感染拡大に伴い現役世代の賃金が下がったことを反映したからです。

減額改定になった結果、標準世帯の年金支給額(夫婦の国民年金プラス夫の厚生年金)は月額22万496円から21万9593円に減りました。1年間で1万836円の減少です。

年金は60~75歳の間で受給開始時期を選ぶことができます。しかし、受給開始年齢はかつて「55歳」であり、その後に変更が繰り返されてきた経緯があります。今後の変更はないと安心していたら、思わぬライフプランの修正を迫られることになるでしょう。

よく相談があるのは「原則65歳」となっている今の年金受給開始を繰り上げすべきか、繰り下げすべきか、というものです。いずれを選択した場合でも制度を知らなければ損をするケースも見られます。

例えば、70歳から受給開始すれば住民税非課税世帯となり、「年金生活者支援給付金」を受けられる可能性がありますが、75歳まで繰り下げて年金受給額が増えると「非課税世帯」にはならず、課税されるというものです。非課税世帯となれば各種保険料も軽減されるので、事前に自治体での確認をオススメします。

一方、「繰り上げ」の場合も注意が必要です。例えば、夫が10年以上国民年金に加入し、10年以上継続して婚姻関係にある場合(事実上の婚姻関係を含む)には、亡くなった夫に生計を維持されていた妻が60歳から65歳になるまでの間、「寡婦年金」を受け取ることができます。

年金額は夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3の額です。しかし、妻が「繰り上げ」支給の老齢基礎年金を受けてしまえば寡婦年金はもらえなくなります。

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