常識を疑って「年金」を普通より多くもらう方法 ほとんどが選ぶ65歳から受給は本当にお得?
繰り下げ受給のデメリットとしては、65歳から受け取った場合と比べて、早く亡くなった場合には受給総額が少なくなってしまうことです。「損益分岐点」の目安は11年10カ月で、70歳まで繰り下げ受給した人は81歳以上になれば65歳から受け取り開始した場合と比べて受給総額が上回ります。75歳に繰り下げるケースは86歳以上となります。
日本人の平均寿命(2021年)は男性81.47歳、女性は87.57歳です。年金受給額はスタートすれば生涯変わりませんので、平均以上に生きることが大切です。
一方、「繰り上げ受給」の場合はどうでしょう。2022年4月から繰り上げた場合の減額率は1962年4月2日以降生まれの人に限り、1カ月当たり0.4%に変わりました。これより前に生まれた人の減額率は0.5%です。
1962年4月2日以降に生まれた人は、先ほどのケース(65歳で年額60万円)の老齢基礎年金を受け取れる人が「60歳0カ月」に受給開始を早めた場合は、減額率が24.0%となりますので年額45万6000円(76%分)となります。月額は3万8000円です。ちなみに繰り上げ請求後の取り消しはできないので、一度決まった年金額は一生続くことになります。
自営業などの夫(第1号被保険者)が国民年金保険料を10年以上納付し、かつ婚姻期間が10年以上ある妻は、夫が死亡した場合に60歳から65歳になるまで「寡婦年金」を受け取ることが可能になります。ただ、繰り上げ受給した場合は寡婦年金を受給することはできません。遺族年金や障害年金も65歳になるまで併給できず、老齢基礎年金とのいずれかを選択することになります。
いつから年金を受給すべきなのかは、それぞれの事情によって異なるでしょう。ただ、国民年金加入のみの人でも75歳まで繰り下げることができれば、月額は10万円近くになります。厚生年金の受給額(モデル世帯)は71歳からに遅らせるだけでも月額11万円のプラスです。受給額が増えれば税金や社会保険料の負担も大きくなりますが、「原則65歳」にこだわらずに繰り下げ受給できれば、老後の生活に余裕が生まれるのは間違いないと言えるでしょう。
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