入江聖奈「カエル研究」との二刀流選ばなかった訳 「逃げ道」を作らないために区切りをつけた

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入江聖奈(いりえ・せな)/2000年、鳥取県生まれ。東京五輪で日本女子ボクシング史上初の金メダルを獲得。22年11月に引退(写真:Dan Mullan/gettyimages)

お金、働きやすさ、やりがい、安定……。仕事選びのポイントは人それぞれだが、「好きだから」というのも忘れてはいけない。自分の「好き」に向かって飛び込んだボクシング金メダリスト・入江聖奈さんが語った。AERA 2023年4月10日号の記事を紹介する。

異分野への転身、カエルの研究に挑む

東京五輪で日本女子ボクシング史上初の金メダル(フェザー級)を獲得した入江聖奈さん。3月15日に行われた母校・日本体育大学の卒業式では、こんな思いもよぎったという。

当記事は、AERA dot.の提供記事です

「慣れ親しんだ世界を出ることに、ちょっと怖くなったりもしました」

偉業を成し遂げたボクシング界にとどまれば、将来も身の置き場は保証されている。だが、新しい道に進めばこの先、成功するか、失敗するか全くわからない。人間関係もゼロからのスタートになる。そういう面での怖さはある。でも、と入江さんは続けた。

「自分が決めたことなので突き詰めたいと思います」

今春から東京農工大学大学院でカエルの研究に挑む。異分野への転身は大胆な決断に映るが、本人は至って自然体。ケロリとこう話した。

「不安もいっぱいありますけど、大好きなカエルに没入できるのは大人の青春だと思うので楽しんでいきたい」 

晴れ晴れとした表情は、「好き」と向き合う充実感に満ちている。

入江さんのカエルとの出合いは高校生のとき。自転車の運転を誤ってアジサイの葉にぶつかった。その瞬間、眼前でアオガエルがぴょんっとはねた。

「初めてマジマジとカエルを見て、うおー可愛いってなりました。野生のカエルなので痩せて骨ばってる感じや、カエル特有の歩き方とか、目がきゅるきゅるしているところも。カエルのすべてに心を奪われたっていう感じです」

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