4月20日は「珈琲牛乳の日」国内初の発売は100年前 平塚で生まれ、最初は銭湯ではなく「駅弁の友」

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山村乳業は1919年に創業し、1930年代からコーヒー牛乳を作っている老舗だ。戦時中にコーヒー豆の入手が困難になったときには、代替品として黒豆を焙烙で炒って甘味料を加えた黒豆牛乳を売ったという。

終戦後にコーヒーが入手できるようになると、当然コーヒー牛乳の製造販売に力を注いだ。しかし同社も大手の壁の前に苦戦を強いられた。

「弊社は1950年代後半か60年代前半ごろ、伊勢市内の銭湯組合に営業をしていたようです。しかしながら採用されたのは、大手さん。そのため2代目社長の山村鹿雄は『銭湯にはもう行かない』と言って、内風呂を作ったというエピソードを聞いています」(山村氏)

代わりに同社が営業をかけて成功したのが、パチンコ店だった。

1950年代~1960年代に、伊勢市内のパチンコ店ではコーヒー牛乳が飛ぶように売れた。おかげで毎日180L以上(180mLの牛乳瓶1000本以上)を生産したという。70年代に缶コーヒーが普及するまでのこの時期が、同社のコーヒー牛乳販売のピークだった。

同社は現在、伊勢志摩の宿泊施設での自動販売機による販売、直営店での販売、ネット通販に力を入れているという。

実は「コーヒー牛乳」は存在しない?

余談となるが、厳密にいうと今は「コーヒー牛乳」という名前の商品は存在しない。2003年に規約改正が行われ、生乳100%の製品にしか「牛乳」という表記を用いることができなくなったからだ。伊勢のホテルの大浴場で見かける山村乳業の製品も、「山村コーヒー」という名で生産販売されている。

コーヒー牛乳(あえてこう呼ばせてもらう)は誕生から2世紀目に入る。昭和レトロ人気に加え、美味しさという点でも裏づけのある瓶入りで、再びブームが起きたら面白いと筆者は思うのだが――。

山村コーヒー(写真提供:山村乳業)
菊地 結津 編集者・記者

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きくち ゆづ / Yuzu Kikuchi

1986年より『Emma』『女性自身』『週刊文春』『週刊朝日』と週刊誌編集部で記者・編集者として働く。その合間に、総合月刊誌や女性誌での執筆、単行本の編集も行ってきた。食文化に強い興味を持ち、現在、専門誌で連載中。著書に『あのメニューが生まれた店』(平凡社)がある。

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