4月20日は「珈琲牛乳の日」国内初の発売は100年前 平塚で生まれ、最初は銭湯ではなく「駅弁の友」

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同社の史料に、興味深い記述があった。

〈戦後も作り続けられた珈琲牛乳は、王冠による密封から紙製のフタに、瓶の形も広口へと変化していった。そして他の飲料メーカーも参入して、守山の珈琲牛乳の売上は減じて行った。当社は、それに対抗すべく、容器を"缶"にして売上を図る作戦に出ようとした。

申請書を上申して認可証も得て、作るのみという段階だったが、本格的な実現に至らなかったようである(OBによれば、平塚周辺で自動販売機を通して売ったのではないか?という証言もあるが、定かではない)〉

この缶容器の申請が出されたのは、1964年2月のことであった。

ところで、コーヒー牛乳を銭湯で湯上がりに飲んだという人も多いことだろう。銭湯で売られるようになったのも、まさにこの時期である。

東京都浴場組合に聞いてみたところ、「コーヒー牛乳に関する資料はないが、牛乳に関してなら」と前置きをしつつ、「1963年に、池袋を中心に銭湯で牛乳の販売が始まりました。でも1963年の5月、都の衛生局から販売中止の通知がきたのです。そこでその年の12月に、都に対して牛乳販売の許可を申請しました。1964年5月に衛生面などの条件付きで牛乳の許可が下りたのです」と説明。

おそらく牛乳販売と同時か少々遅れるかたちで、銭湯でも飲まれるようになったと思われる。

しかし、それから四半世紀経つか経たないか……のうちに、牛乳瓶に詰められたコーヒー牛乳は、姿を消していく。瓶詰めで宅配してもらう方式から、スーパーやコンビニで紙パック入りのものを買う方式に購買方法が変化したからだ。また銭湯の数が急激に減っていったことも大きい。

瓶入りコーヒー牛乳にこだわる

時代に抗うように、今でも瓶入りのコーヒー牛乳にこだわっているメーカーもある。三重県にある山村乳業(伊勢市)だ。

山村乳業は今でも瓶にこだわる(写真提供:山村乳業)

「うちは、牛乳やコーヒー牛乳、フルーツ牛乳、プリンなど、瓶詰め乳製品の種類が日本一多いメーカーのようです」

と語るのは、広報担当の山村卓也氏。瓶詰めにこだわる理由は、“そちらのほうがおいしいから”だという。

「感覚的なものもあるのですが、最近、科学的にも美味しさが立証されたんです」(山村氏)

2023年1月、アメリカの学術誌『Journal of Dairy Science』に興味深い論文が掲載された。牛乳をさまざまなパッケージに入れて実験した結果、紙パックは揮発性化合物の浸透が大きいため風味や鮮度を落としやすく、ガラス製の瓶は風味と鮮度の質を最も高く保つことができたという。

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