日米の株価はやっぱり年央にかけて下落しそうだ ただし「暴落パニック」が起きる可能性は低い

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

市場は、楽観でも悲観でも騒ぐのが「商売」なので、今後も1つの材料をめぐって「これはとてもよいことになる」「危機がやってくる」などと称し、市場価格が上下に振れることを何度も繰り返すだろう。

今後の実態経済は「まあまあぼちぼちの悪化」か 

株価も為替相場も、心理面から市況が上下に振れまくるのは、足元に限った話ではなく、日常茶飯事だ。つねに、上か下に「行きすぎ」が生じる。それでも市場で投資家の見解の集大成としての「見えざる手」が働くことで、中長期的には市況は経済や企業収益などの実態に回帰する。

そうした実態(ファンダメンタルズ)は、短期間でそれほど大きくは変化しない。もちろん、2020年のコロナ禍のように、経済実態や企業の行動が一気に変わってしまうことはあったものの、極めて例外だ。

では、世界のファンダメンタルズは今どうなっているかというと、じわじわと悪化していると判断している。別に空前の好景気ではないし、大恐慌も来ないだろう。ただ、どちらかと言えば、当面は景気や企業収益は下向きだ。

アメリカ経済の先行き悪化については、同国経済で最大のウエート(7割弱)を占める個人消費の先行きが危ういという点を、前回のコラム「日米の株価が今後も下落基調にあると見るワケ」で、詳しく述べた。

そうした景気減速の主要因は、インフレ退治を目的として行われてきた金融引き締めだ。これまでの利上げに加え、次回5月2~3日の連邦公開市場委員会(FOMC)でも0.25%幅の政策金利の引き上げが決定されるとの観測が有力だ。

金融政策においては、しばしば金利水準ばかりが目を引くが、資金量の面では「量的引き締め」も進められている。その結果、中央銀行が散布した資金量を測るマネタリーベースは、もちろん前年比マイナスとなっている。それだけではなく、経済全体に出回っている現金と預金の量を示すM2も、足元で前年比マイナスとなり、かつマイナス幅を拡大中だ。

実は、現在の定義で算出されているM2のデータは、1959年1月までさかのぼることができるが、その期間でいえば、M2の前年比マイナスは史上初だ。経済全体の資金量がアメリカで減りながら、同国の経済が拡大し、株価が上がっていくとはとても想定しがたい。

次ページ景気悪化は欧米中央銀行の「狙いどおり」
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事