日米の株価はやっぱり年央にかけて下落しそうだ ただし「暴落パニック」が起きる可能性は低い
こうした金融引き締めは「当面の最も重要な政策目標はインフレの鎮静化であり、それを達成するためには、引き締めで家計や企業の購買力を削ぎ、製品やサービスの需給関係から物価を抑え込む」という狙いから実施されてきた。
つまり「景気を犠牲にしてインフレ率を抑える」という策であり、ある意味「連銀の狙いどおりに景気が悪化してきている」といえる。ヨーロッパ主要国でも、インフレを退治するために景気を犠牲にするという方針は同様で、当面の景気は暗い情勢が続くだろう。
一方、中国は、世界の主要国の中では高めの経済成長率は維持しようが、欧米諸国などの景気減速を受けて中国からの輸出が減退し、同国景気への押し下げ圧力が強まりそうだ。アメリカが安全保障や人権などの面などから中国への対立姿勢を強め、経済・金融分野での制裁を続けていることも、中国経済の先行き不安要因だ。
今後パニック的な株価暴落はあるのか
こうした世界の経済や企業収益の悪化は、それぞれの国の株価を押し下げるだろう。とはいっても、バブルが崩壊するわけでも、リーマンショック時のように金融システム破綻の危機が取り沙汰されるわけでもない。「よくある普通の景気後退」が生じるにすぎない。とすれば、株価が大暴落するとは見込みがたい。
加えて、過去に株価が暴落した局面においては、「確実に悪いことが起こる」と投資家が懸念したわけではなく、「何が起こるかわからない」とのパニックに陥ったといえる。
リーマンショック時は、幅広い金融機関が住宅向けサブプライムローン(貸してもお金が返ってこない可能性が高い借り手に、高めの金利で貸し付けるローン)に手を出していた。
加えて、そうした怪しいローンは証券化されて、幅広い投資家が保有していた。このため、住宅バブルの崩壊で住宅ローンの不良債権化が進むと、どの金融機関、どの投資家が倒れるかわからないという事態となり、パニックが広がった。
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