西松建設、トンネル工事「遠隔化」を急ぐ深刻事情 建設業に迫りくる「2024年問題」対策への武器に

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西松建設は長年、トンネル工事を得意としてきたこともあり、同トンネル工事における労働環境の改善や労働生産性の向上が喫緊の課題と位置づける。施工機械の遠隔操作・自動化施工の要素技術確立を目指し、2020年から、現場での試行を繰り返してきた。

岡山県の「西大島トンネル」ではセントル(移動式型枠)のセット作業などの自動化、福岡県の「筑穂トンネル」ではコンクリートの吹きつけ機などの遠隔化に取り組んだ。今回の不破原トンネルにおけるホイールローダの実証実験も、この要素技術の確立という主旨に沿ったものだ。

西松建設が遠隔操作・自動化施工の構築を急ぐ背景には、ゼネコンを取り巻く経営環境の厳しさがある。

少子高齢化を受けて建設業の就業者は年々減少。就業者の高齢化が着実に進む一方で、汚い、きつい、危険というイメージがあり若者がなかなか流入してこない。

「2024年問題」を前に生産性向上が必須

さらに、建設業は2024年4月から「働き方改革関連法」に基づく時間外労働の上限規制が適用される。特別な事情がない限り、時間外労働を月45時間、年360時間以内に収めなければならない。労働生産性の向上は「待ったなし」の状況というわけだ。

ゼネコン大手は技術革新を進めることで、現場作業の効率化を図る算段だ。例えば、スーパーゼネコンの大林組は盛り土工事などにおける遠隔操作・自動化施工の技術開発を進めている。

ところが、トンネル工事においては遠隔操作・自動化施工がほぼ手つかずの状態だった。山岳トンネルの施工では狭い坑内において多種にわたる特殊機械を使用する複雑な作業が必要とされるため、遠隔操作・自動化施工の技術開発はハードルが高いと見られていたためだ。

「『トンネル(での遠隔操作・自動化施工の技術開発)は難しいよね』と言って、他社は手をつけていない領域だった」(西松建設・技術研究所の山下雅之副所長)。ただ、「当社はトンネルが得意領域だけに、技術開発に『チャレンジしよう』と決意した」(同)という。

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