高配当が続く銀行の中で上昇が目立ったのが三井住友フィナンシャルグループ。2023年3月期はメガバンク揃って増配だが、三井住友は期中の増額もあり、配当利回りは期末時点でも4.3%。昨年末の日銀の金融政策変更を好感した銀行株人気で2月末には時価総額8兆円を突破したが、3月の欧米金融不安で調整、それでも年間で1.9兆円の時価総額増となり、前年の26位から14位へ躍進となった。
ほかに高利回りで時価総額が膨らんだところをあげれば、JTと日本製鉄が利回り6%超え(いずれも3月末時点)でランクアップ。通信のソフトバンクが5%台(同)で株価もしっかり。同4%台では、前述した三井住友FGに加え、武田薬品工業、みずほFG、丸紅、日本郵政なども時価総額を増やした。
一方でグロース株の人気離散が続いた。ニューノーマル期待で大きく上昇したのがエムスリー。時価総額は5兆円超に膨らみ2021年3月末に26位にまで上昇したが、2022年3月末に47位、そしてこの2023年3月末は71位まで下げてしまっている。
また、日本電産やZホールディングスのランクダウンも目立った。いずれも金融緩和が進んだ2020年度のグロース株人気の中で買われた銘柄で、2022年度の相場ではPERや利回りなど指標面に割高感があったようだ。
トヨタに次ぐ時価総額ダウンとなったのがリクルートホールディングス。2.9兆円が消え、前年の9位から23位に後退となった。ドル箱のアメリカ・インディード事業がどうなるのか、FRBの相次ぐ利上げによる景気減速懸念が株価を押し下げた格好だ。
ソフトバンクGはトップ10から転落
そして、ついにトップ10から転落したのがソフトバンクグループ。2023年3月期はファンド事業の浮上は叶わないがアリババ株売却で赤字は縮小する見通し。ただ、いまやアリババを筆頭に世界の先進企業に投資する存在で、海外新興市場の値動き、特に中国系のテック企業の値動きに連動しがちだ。2021年3月末に19.4兆円で国内2位の座にあった時価総額は、昨年3月末に9.5兆円に急減し7位、この3月末には7.6兆円まで減らして11位に転落してしまった。
欧米ではインフレ退治の利上げが続くが、景気後退も意識される中、市場には早期の利下げ開始期待もある。ゼロコロナ政策を見直した中国経済の回復期待も強い。マイクロソフトの大規模買収でゲーム株から人気に火がついたメタバース関連。また、子育てや防衛関連のように政府の予算拡大による好影響を期待して上昇するケースもあり、政策テーマにも注目が集まる。すでに新年度の主役探しは始まっている。
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