「試合で借金、負ければ終わり」ボクシングの残酷 世界戦はギャンブル、自宅を担保にする会長も
そのため軋轢が生じることも想定内だといい、実際、JBCから注意を受けたこともある。それでも、前へと突き進んでいくのには理由がある。
「ボクシング業界は、年間約200回の興行があります。その売り上げと、月謝などのジム事業を合わせると、今は年間100億円に届かないマーケットではないかと個人的に分析している。ボクシング市場は停滞しているが、スポーツビジネスとしてまだまだ可能性があると思っています」(亀田さん)
コロナ禍で引退を選ぶボクサーも
さらには、コロナ禍も思いに拍車をかけた。
「K-1などの格闘技は開催しているのに、ボクシングは事情が違いました。先述したように、各ジムが興行を打ちます。資金力に乏しいジムは、コロナの影響が直撃し試合ができず、その結果、引退を選ぶボクサーの数が増えていた。場を作らなあかんと思いました」(亀田さん)
こうした事情に、内山さんもうなずく。内山さんは、地元・春日部と四谷にフィットネスジムを構えている。
「僕らのフィットネスジムは、現役のボクサーの子たちがトレーナーとして働いています。自分たちもボクシングの練習ができ、お金もある程度稼げるとなると、フィットネスジムが理に適っている。選手たちには、好きなようにシフトを組んでもらって構まらないと伝えています。ボクサーを取り巻く環境というのは、非常にシビアなんですね」(内山さん)
また、ボクシングジムではなくフィットネスクラブを選んだ理由として、次のような背景もあると教える。
「プロボクサーがいる中小ジムに、フィットネス感覚で一般の方が通うというのは、意外にハードルが高い。というのも、試合を控えた殺気立ったボクサーが死に物狂いで練習している隣で、体を動かすってイヤじゃないですか?(笑)」(内山さん)
「無理ですね、それは(笑)。減量しているボクサーがいたら、とんでもない雰囲気になる」(亀田さん)
「フィットネスだと、そうした“緊張感”がないため通いやすい。継続してジムに来てくれる人がいるので運営しやすいんですね。そう考えると、プロのジムとして生計を立てるというのは、スポンサーをはじめ強力な援軍がいないと難しい」(内山さん)
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