日経平均は「4月の激しい攻防戦」後どうなるのか 「GW前に2万9000円台到達」への期待が高まる
しかし、筆者はそうはならないと思っている。上述したように、FRBは昨年6月より静かに進めていたQT(量的引き締め)で縮小したバランスシートの約半分を短期間に市場に放出したことで、超カネ余り状態になりつつある。だが、短期的にだぶついたこの資金が、すぐに債券へ戻るとは考えられない。「行くところは主に株式市場」と考えるのが妥当ではないか。
今回の銀行ショックは、FRBの急速な利上げが引き起こしたことは明白で、一時は「5・6・7月の3回」といわれたFRBの利上げ予定は、今や5月のみととらえる向きが大半だ。
また、アメリカのリスクの高まりとともにドル安円高となっていたが、リスクの低下で日本株に有利な円安傾向が戻ってきた。
主要市場における4月のパワーは、会計年度がスタートする日本が最も大きい。しかも、2023年の年明け初取引である1月3日のダウ工業株30種平均は前年末比10.88ドル安の3万3136.37ドルだったが、1Q(第1四半期)の最終日である3月31日は3万3274.15ドルと、わずか137ドルほど高いだけだった。
もし3月の最終日を含む3連騰の計880ドル高がなければ、SVBショックをなんとか乗り越えたとはいえ、アメリカ市場はひどい1Qだった。それだけに、これから始まる2Q(第2四半期)への期待とニーズは例年になく大きい。
「株価は上へ」の流れは止まらず
そのような状況の中で始まる今週(4月3~7日)は、日銀短観と3月のアメリカ雇用統計が注目の双璧だ。3日発表の日銀短観における「大企業製造業業況判断DI」は前回の12月時点から低下すると予想されている。だが、非製造業では急速に回復しているインバウンド需要を考えると、予想以上の数字も期待される。
一方、7日の3月の雇用統計(非農業部門雇用者数前月比)は、2月の31.1万人増から増加幅が減少する予想だ。また、失業率は悪化した2月の3.6%から横ばい予想。重要な平均時給(前年同月比)も、2月の4.6%増から若干低下のもようだ。現時点では、株式市場の上方向への流れを変えるとは思えない。
東京証券取引所の公表資料で「相場の活性度」を表す日本株の裁定取引の厚みを見ると、最近はほぼ昨年8月の水準に戻った。この時期の日経平均の水準は2万9000円台だ。2万8000円に乗せた今の勢いを考えると、1000円高など2週間もあれば十分だろう。アドレナリンは筆者も出まくっている。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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