「汚いトイレを使う」息子を父がうれしく思った訳 7000kmのキャンピングカー旅で感じた「成長」

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大人の世界では今、激変する社会環境に対応すベく「リスキリング(学び直し)」が積極的に叫ばれているが、学び直しができるのは、それ以前に学ベたことがある人だけだ。

学校にはもう1つ面白い側面がある。それは多様な人が集まることだ。

とくに大学は面白い。性別、国籍、年齢を問わず、いろいろな人がいる。金持ちのボンボンもいれば、苦学生もいる。道端で踊っているグループもあれば、謎の宗教を布教しようとする軍団もいる。スポーツマンもガリ勉も皆が同じ1つのキャンパスに集う。

こうした多様な人との出会いは、人間としての幅を広げてくれる。私としては、学歴そのものは人生に必要ないと思うが、こうした場所でいろいろな人に出会う経験を、18歳くらいの多感なときに持っておくことはすごくよいことだと思う。

もちろん、代替手段はある。大学の代わり世界放浪の旅に出るのもありだろう。まぁ、大学に行く方が簡単だとは思うが。

ところが、残念なことに、こうした多様性がない学校もある。いわゆるエリートコースと呼ばれるような道がまさにそうだ。

小さなころから名門の進学塾に通い、小中高一貫の私立校(それも、男子校や女子校)に入り、その後も超一流学校に進学するようなパターンだと、「わけのわからない奴」に出会うことがないまま大人になってしまうことも少なくない。

一般的には憧れの勝ち組と言われるような生き方かもしれないが、社会の上積みだけを見て生きていくのは実に危険だ。

(写真:『自分を探すな 世界を見よう 父が息子に伝えたい骨太な人生の歩き方』より)

大学は人生の振り子の幅を広げる場

わが家は決してエリートでも超お金持ちでもないが、東京のど真ん中で、欲しいものがあればたいていはすぐに手が届く暮らしをしている。そんななかで育ってきた君の姿に、私は強烈な危機感を覚えたことがある。

君が小学校2年生のころだっただろうか。自宅の近くの公園に遊びに行ったときのことだ。「トイレに行ってくる!」とその場を離れた君が、すぐに戻ってきた。トイレが汚くて大ができない、と言うのだ。

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