テレビ局と制作会社「地位逆転」が韓国で起きた訳 冬ソナ制作会社幹部が語る韓国ドラマの強み

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『冬ソナ』を放映したKBSとは、知的財産をめぐって大議論になりました。当時の韓国では、ドラマ制作会社がテレビ局から制作費の投資を受けて制作・納品する代わりにIPはすべてテレビ局に譲渡する慣行で、制作会社は完全な下請け状態でした。

肝心の制作費も全額が支払われるのではなく、全制作費の6〜7割ほど。制作側は自分たちでなんとか利益を出すほかない状況でした。音盤の世界では制作側がすべての権限を獲得していましたから、高速道路に売ったり、リミックスにしたりと時間が経ってもさまざまな売り方ができました。

弊社にとって『冬ソナ』は初めてのドラマで、もともとが音盤会社でしたから納得がいかず、制作会社が作品の価値を決めるという論理でアプローチしました。しかし、議論は平行線。議論は平行線。放映日ぎりぎりまで議論して、IPをくれないなら放送しなくていいと啖呵を切りました(笑)。結局、国内の権限はテレビ局、海外は制作会社が持つという契約で収まりました。

俳優のギャラが跳ね上がった

――『冬ソナ』は韓国のドラマ業界において大きな転換点になった作品といわれます。

日本で冬ソナがヒットすると韓国ドラマに注目が集まるようになって、それまで安価で供給していた韓国ドラマの価格も俳優のギャランティも跳ね上がりました。一方で、韓国ドラマが海外でも人気を高めたことで事前販売が可能になったりと資金調達もできるようになりました。

金喜烈ドラマ部門産業本部副社長(写真:panエンタテインメント提供)

そんな状況を受けて、「(音盤会社だった)panができたのだから自分たちも」と、多くの会社がドラマ制作に参入してきて、(音楽事務所の)SMエンターテインメントやYGエンターテインメントもドラマ制作を始めていましたし、冬ソナを制作した当時10社だったドラマ制作会社は今では150社ほどに増えています。

――俳優のギャランティについては、当時の報道では10倍になったと報じられていました。最近ではトップスタークラスで一話3億〜4億ウォン(約3000万〜4000万円)という話も聞きますが、実際にはどのくらい高騰しているのですか?

(冬ソナ)当時の俳優はテレビ局に所属していてスター性などによってギャラが異なっていました。平均は1話200万ウォン(約20万円)ほどでしたが、『冬ソナ』のヒットでそれよりもぐっと上がりました。現在はさらに上がっています(笑)。

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