先代の途中で4速ATに代えて投入された6速EDC(新型は7速)は、わが国の2ペダル需要が多いことを踏まえて、世界に先駆けて日本にまず導入されたものであった。
新型カングーの価格は、ゼンが384万円、クレアティフとインテンスは同価格で、ガソリンが395万円、ディーゼルが419万円だ。先代はゼンEDCが264.7万円、リミテッドディーゼルMTが282万円だったので、100万円以上値上げしたことになる。
新型はADAS(先進運転支援システム)が最新レベルにまで進化し、ACC(アダプティブクルーズコントロール)などが付いたうえに、オートエアコンがデュアルになるなど快適装備もレベルアップした。
しかし、モデルチェンジで100万円以上の値上げというのは、あまり例がない。筆者も350万円ぐらいかと予想していたので、インポーターに聞いてみた。すると、返ってきた答えは「フランスからはもっと上の数字を望まれた中、ギリギリまで抑え込んだ」というものだった。
バンの廉価モデルでも先代ゼンを上回る
試乗会から戻ってフランスでの価格を見てみると、新型はたしかに高い。インテンスと同等の装備を持つ「テクノ」のEDCで、ガソリンが31,000ユーロ、ディーゼルが31,900ユーロだ。1ユーロ140円で計算すると、ガソリンは434万円、ディーゼルは446.6万円になる。
現地では、乗用車仕様と商用車仕様のバンの価格差が大きいことも発見した。同じエンジン、トランスミッションの商用車は、ガソリンが25,700ユーロ、ディーゼルが26,300ユーロであり、さきほどのレートで計算するとガソリンで359.8万円に収まる。
新型は、欧州では廉価版となる「エクスプレス」も用意され、フランスではバンのみ両方が売られる。
MTのみでエンジンも最高出力の低い仕様しかないが、参考までに価格を紹介すると、もっとも安いガソリンが20,200ユーロで、日本円に換算すると282.8万円。バンの廉価モデルであっても、先代のゼンを上回っているのである。
昨今の円安も影響しているが、欧州車の価格が全般的に上昇しており、その中でも新型カングー乗用車仕様の上級移行が顕著であることが、おわかりいただけたのではないだろうか。
実車に接してみると、たしかに先代と比べて格段にクオリティが向上していて、プライスアップが実感できた。
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