大手損保、事故車の修理工賃を軒並み引き上げへ 各社2.5%以上引き上げ方針、保険料へ転嫁も?

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自動車修理の様子
急激な物価高を受けて、大手損害保険各社が整備業者との間で決める修理工賃の引き上げに動き出した(写真:花火/PIXTA)

大手損害保険各社は2023年4月以降、足元の物価高を踏まえて、整備業者に支払う事故車などの修理工賃を大幅に引き上げる。

2022年に全国の消費者物価指数は年平均で前年比2.5%上昇しており、各社とも同率以上の引き上げを図る方針だ。2%を超える引き上げで大手が足並みをそろえるのは、業界による修理工賃の統一をやめた1994年以降初めてとみられる。

東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の大手4社が引き上げるのは、各社が自動車などの整備業者と個別に話し合って取り決め(協定)を結ぶ指数対応単価だ。

適正な修理工賃の算出には自研センター(JKC)が設定した指数も使われる。写真はJKCのサイト(編集部撮影)

指数対応単価は、整備業者の人件費などを加味した作業1時間当たりの単価のこと。6000~8000円程度に設定されている業者が多く、業界では工賃レート、レバーレートなどとも呼ばれる。

その対応単価に、損保各社が出資する自研センター(千葉県市川市)が作業内容ごとに細かく設定した作業時間の指数(標準作業時間指数)を掛け合わせることで、適正な修理工賃を算出。そこに交換した部品代などを加えて修理費用の総額をはじき出し、整備業者が損保各社に請求するという仕組みになっている。

修理工賃で「闇カルテル」の過去

そもそも損保業界は過去に、修理費用の適正化と抑制を狙って業界団体が「標準対応単価」を設定し、各社がそれをほぼ一律で整備業者に適用していた経緯がある。

しかしながら、その業界慣行が独占禁止法の禁じる「闇カルテル」の疑いがあるとして、1994年に公正取引委員会から警告を受けた。以降は損保各社が物価の動向を見ながら、個別に対応単価を決めるかたちとなっている。

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