相鉄・東急「新横浜線」開業、どこまで便利になるか 一番列車は相鉄車両、浦和美園までロングラン

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今回開業した10kmの区間は、2019年11月に開業した「相鉄・JR直通線」とともに「相鉄・東急直通線」として整備が進められてきた。建設と施設の保有は鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が担い、相鉄と東急が同機構に使用料を支払って施設を借り、列車を運行する「上下分離方式」を採用している。

相鉄線と東急線を結ぶ路線の計画は2000年、東京圏の鉄道整備指針を示す運輸政策審議会(当時)の答申に盛り込まれ、2013年2月に土木工事に着手した。

東急新横浜線日吉トンネル
新綱島駅から日吉駅方面へと通じるトンネル(記者撮影)

当初は2019年4月の開業を見込んでいたが、2016年に用地取得の難航や軟弱地盤への対策などで2022年度下期への延期を発表。相鉄・JR直通線と合わせた建設費も当初の約2739億円から約4022億円まで膨らんだ。2021年6月には新横浜駅付近で2度にわたってトンネルの真上にあたる幹線道路、環状2号線の路面が陥没する事故が発生し、一時工事がストップする事態もあった。鉄道・運輸機構の担当者は「工期については確かにきつい部分もあったが、予定通り開業することができた」と語る。

効果は関西にも波及?

「次は、東急線だ。新幹線だ。」「相鉄線の大進撃、さあ行こう。」――相鉄線の電車内などに掲出された東急線直通とダイヤ改正を告知するポスターには、拳を握って前を見つめる相鉄のキャラクター「そうにゃん」の姿とともに、こんなフレーズが躍る。関東の大手私鉄で唯一都内に路線を持たない相鉄にとっては、相鉄・JR直通線に次ぐ2つ目の都心直通ルートの誕生だ。

相鉄ダイヤ改正ポスター そうにゃん
東急線直通開始をPRする相鉄のポスター(記者撮影)

相鉄は2010年代半ばから、長年の悲願だった「都心直通」に備えて電車のカラーリングをネイビーブルーに変更するなど、沿線外で低かった知名度向上への施策を積み重ねてきた。「相互直通運転の拡大は、乗り入れ先の地域にお住まいの皆さまにも相鉄沿線を知っていただく大きな機会となる」。開業に先立つ3月5日、新横浜駅で開いた「しゅん功開業式典」で相鉄の千原広司社長はこう述べ、利便性向上とともに「認知度アップ」への期待を示した。

一方、神奈川県内だけでなく都心部からも期待が高いのは、東海道新幹線の停車駅である新横浜へのアクセス改善だ。東急沿線や相鉄沿線はもとより、都心や埼玉方面からも直通できるようになることで、これまで東京駅や品川駅を利用していた新幹線利用者の転移も見込まれる。

相鉄・東急新横浜線 新横浜駅名標
新横浜駅の駅名標。下部に新幹線乗り換えの案内がある(記者撮影)

新横浜線の開業に合わせ、JR東海は同日のダイヤ改正で新横浜6時03分発の臨時「のぞみ491号」を新設。新大阪8時06分着で、品川6時00分発の「のぞみ99号」より10分、同時刻の東京発「のぞみ1号」より16分早く到着する。東急は相鉄やJR東海、JR西日本、阪急電鉄と連携し、新横浜線経由で関西方面への新幹線利用をPRする「東急線から新幹線へ」と題したプロモーションを展開。新幹線アクセス路線としての利用を期待する。

「新横浜駅を介して新幹線利用が便利となり、中京・関西方面への利便性が向上することで、首都圏はもちろん、日本経済の発展にも貢献しうる意義の高い事業であると考えている」。東急電鉄の福田誠一社長は開業式典で、新横浜線がもたらす効果を強調した。

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