ベンチャーの「過剰な資金調達」が危険な理由 一流VCが説く正しい「ラウンド」での調達とは

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すなわち、シリーズAで説明した目標を達成したならば、シリーズBの投資家はその成功に対して、高いバリュエーションという形であなたに報いる。つまり、資金調達額よりも少ない金額で会社を売らなくてもすむということだ。

その場合、あなたと従業員は一層安泰になる──あなたには会社を成長させるために必要な資金があり、しかもその資金調達コストは、アーリー・ステージで一度に必要以上に多額の資金を調達した場合のコストよりも少なくてすむ。

CEOとしての判断が難しくなることも

調達資金の額に関してほかに考慮すべきことは、会社にとって本当に大事なことだけに集中していたいという、切実な願望である。

必要は発明の母である。信じがたいかもしれないが、アーリー・ステージのスタートアップが過剰な資金を調達すれば、破綻の原因となるおそれがあるのだ。

たとえば(過剰な資金がある場合)、あなたはCEОとして、会社の発展にわずかな効果しかないようなプロジェクトを承認したくなるかもしれない。

また、財政的制約がないことを知っているチームのメンバーに、ものを作れない理由や新しい人材を雇えない理由を説明するのは、意外と難しい。

カップラーメンだけ食べて床の上で寝ろとは誰も言っていないが、限られたリソースしかないほうが、会社にとって重要なマイルストーンに磨きをかけるために役立つし、どの投資も最終的な機会費用と確実に比較検討するようになる。

(最終回へ続く)

スコット・クポール アンドリーセン・ホロウィッツ マネージング・パートナー

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Scott Kupor

アンドリーセン・ホロウィッツのマネージング・パートナーで、同社の事業運営全般の責任を担う。2009年の設立以来同社に所属し、従業員3人から150人以上へ、運用資産3億ドルから100億ドルを超えるまでになった同社の急成長に貢献した。スタンフォード大学ベンチャー・キャピタル・ディレクターズ・カレッジの共同創設者兼共同ディレクターであり、同校ロースクールでVCとコーポレートガバナンスについて教える。また、カリフォルニア大学バークレー校ハース・スクール・オブ・ビジネス、ボールト・スクール・オブ・ローでも教鞭を執る。

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