──なぜでしょうか。
これまでのところ、米国のこの地域における軍事的プレゼンスは、過去の遺産でうまくやっているにすぎない。この地域におけるわが国の外交関係は、将来は大部分が忘れ去られてしまう恐れがある。米国は衰退しつつある、ハリボテの大国になるだろう。
強大な軍事力を持っていても、この地域の重大な紛争に対しては、わずかな影響力しか持てなくなるに違いない。
──つまり、オバマ政権はTPPを重視している?
オバマ政権にとって重要というだけではない。米国、またアジア太平洋地域にとっても重要なことだ。オバマ政権は明らかに妥結に向けて慎重な準備に入っている。私は最近議会に行ったが、ホワイトハウスがさらに努力しなければならないということは明白だ。
議会の職員たちは、こんな疑問を口にしていた。「ホワイトハウスはいつになったら我々に接触してくるのだろうか」。申し添えておくと、議会の雰囲気はホワイトハウスに対してそれほどオープンでもフレンドリーでもない。それでも、ホワイトハウスはさらなる努力をする必要がある。
ホワイトハウスは誰と接するべきなのか
──たとえば?
超党派的であることが必要であり、ホワイトハウスはジョン・ハンツマン議員のような人物と接触するべきだ。彼は、大統領候補でない共和党員として、唯一注目するべき人物といえる。彼はホワイトハウスと協力してTPPを議会に通すことを提案している。ハンツマンはこの問題を知っており、しかも政治的な駆け引きも心得ている。いくらかの妥協も必要だろう。まずは大統領から歩み寄るべきだ。
残念ながら、オバマ大統領にはモラル・ハザードがある。彼は議会を分裂させるような人物になってしまった。2016年の大統領選がヒートアップすれば、分裂状態は悪化の一途をたどるに違いない。TPPの主たる支持者がオバマ大統領ただ1人となれば、TPPの成立はますます難しくなることは明白だ。
したがって、大統領は 有力な超党派の議員たちの意見に耳を傾ける必要がある。もう1人、重要な役割を担ってくれそうなのが、ポール・ライアン議員だ。他にもうまくやってくれそうな議員が何人かいる。
大統領はTPPの成果を皆に分け与えることを目指さなければならない。議案の可決は、厳しい競争が始まること、やるべき仕事が追加されることを意味するに過ぎないからだ。
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